合法的な音楽ダウンロード販売サービスは普及しつつあるものの、P2Pファイル交換サービスによる音楽ダウンロードは依然として大きな割合を占めており、合法的なサービスが拡大する余地はまだ十分にあるとの調査結果を米調査会社のThe NPD Groupが23日発表した。
この調査によると、P2Pファイル交換サービスによる音楽ダウンロードは基本的に減少傾向にある。P2Pで音楽をダウンロードしていた世帯と合法的な有料ダウンロード行なっていた世帯の比率は、2年前には20対1と大幅な開きがあったが、2005年3月時点でこの差は2対1へと縮まったという。このことから見ても合法的な音楽ダウンロード販売サービスは大きな成果を上げていると言える。
しかしながら実質的にダウンロードされた楽曲数を見ると、2005年3月にP2Pサービスによってダウンロードされた楽曲数が2億4,300万曲に上るのに対して、同時期に音楽ダウンロード販売サイトによって購入された楽曲数はわずか2,600万曲に止まっているという。
NPD Groupによると、基本的に新しいデジタル機器やテクノロジーは音楽ダウンロード販売を推進する力を持っているようだ。例えば音楽ダウンロード販売サイトの利用者の41%は、使い始めた理由として「より高速なインターネット回線導入がきっかけ」と回答した。そのほかにも30%が「性能のよいコンピュータを購入したから」、22%が「MP3プレーヤーを購入したから」と回答している。また、プロモーション活動も重要であり、初めて合法的に音楽をダウンロードしたのは「特典があったから」と回答した人が34%あった。
一方で、音楽ダウンロード販売サイトにはまだ多くの改善の余地があるという。音楽ダウンロード販売サイトの利用が伸び悩む理由の1つとして、ダウンロードした楽曲の利用制限があると指摘。その結果として合法的なサービスを経験してから数カ月以内に再度利用した顧客はわずか55%であり、P2Pサービスの85%に比べてリピーター率が大幅に低い。
合法的ダウンロードが増加しているということは、P2Pサービスの利用が減少しているということにもなる。若年層では依然としてP2Pサービスによる音楽ダウンロードは堅調だが、年齢が上がるにつれて、また中間所得者層ではP2Pサービスの利用を制限したり、まったく利用しなくなった人も多い。その理由として、13歳から25歳のP2Pユーザーの49%、26歳以上の44%が訴訟の潜在的危険性を挙げている。
P2Pサービスの合法性に関しては現在「MGM対Grokster」の裁判が進行中で、近々米国最高裁で判断が示される予定となっており、全米の注目を集めている。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.npd.com/dynamic/releases/press_050623.html
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・ 有料音楽配信サービスがP2Pの人気に肩を並べる~米NPD調査(2005/06/08)
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2005/06/24 12:27
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