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マイクロソフトと警察庁が技術協力、ホットラインや技術トレーニングなど

「警察と協力してサイバー犯罪を予防する」ゲイツ氏

 マイクロソフトは28日、警察庁情報通信局情報技術解析課と技術協力協定を締結したと発表した。同社はセキュリティ関連の情報を警察庁に提供するほか、両者間を結ぶホットラインを設置し、技術トレーニングを実施するという。


官民協力してセキュリティ対策を

米Microsoftの会長兼チーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏
 「さまざまな分野に良い影響を与えているインターネットだが、セキュリティが発展の障害になってはならない」。28日、東京都内で開催されたシンポジウム「インターネット社会を迎えて―市民に迫られる安全対策―」の基調講演で、米Microsoftの会長兼チーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏が警察や政府機関と協力したセキュリティ対策の重要性を訴えた。

 「迷惑メールを防ぐフィルタリング技術や、スマートカードを利用した認証技術などテクノロジーは重要だ。しかし、テクノロジーだけでは足りない。ユーザーの認識を高める必要がある。また、政府機関や警察と協力しテクノロジーを悪用するサイバー犯罪に備えなければならない。」

 Microsoftの世界的な官民協力の取り組みとしてゲイツ氏は、カナダの警察当局と協力した「児童ポルノ摘発データベース」や、日本国内の「教室のネットワーク化運動(ネットデイ)」「情報モラル教育」などを挙げる。

 また、ユーザーのセキュリティを高める「THINK SECURITYキャンペーン」として、6月18日から日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)が主催する「インターネット安全運動」を紹介。「Microsoftでは情報を提供し、必要な対話には参加する」とコメントした。

 「ユーザーは常に安全対策を取ってほしい。最新の知識を身に付け、情報を共有してベストプラクティスを得ることが重要だ。現在のところ、詐欺師たちの手口に何とか対応できているが、新しい手口はいずれ出てくる。最新の情報を取得し、最新のソフトを使ってほしい。」


発達するセキュリティ技術によって「将来は安全なインターネットが楽しめる」

 今回の基調講演は、慶應義塾大学の湘南藤沢中等部・高等部とインターネットで接続され、生徒たちからの質問にゲイツ氏が答える場面もあった。

 インターネットの将来を尋ねる質問に対しては「インターネットは始まったばかり。将来はアクセスがもっと簡単になる」と回答。「紙を使うような作業はなくなり、すべてインターネットに取って代わる。スピードも大幅に改善し、すべての機器がインターネットに接続できるようになる。インターネットがビジネスの本流になることによって医療サービスや重要なビジネスにも当たり前に使われるようになるのでセキュリティはより重要になるだろう」と述べた。

 セキュリティに関する質問には「最新のソフトを利用すること」と再度強調。さらに「ソフトをマシンにダウンロードする際に、きちんとしたサイトからダウンロードしなければならない。誤ったソフトを一度でもダウンロードしてしまうとプライバシーが侵害される恐れがあるからね。誰と通信をするかも重要だ。チャットルームに入るのも気をつけよう。クレジットカードを入力する場合は、正しいサイトかどうかをよく確認して」と注意を呼び掛けた。

 ゲイツ氏は最後に「今後はユーザーが何も考えなくとも自動的にセキュリティ対策ができるようなソフトを提供する。セキュリティ技術は重要で、どんどん発達しているので、私自身は将来は安全なインターネットが楽しめると楽観視している。そのためにもセキュリティ技術の開発を最優先課題にしている」と述べた。


関連情報

URL
  マイクロソフトのニュースリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2331
  インターネット社会を迎えて
  http://www.nhk-jn.co.jp/001headline/2005/009/009.htm

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( 鷹木 創 )
2005/06/28 14:54

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