総務省は28日、情報技術を活用した新たなサービスやビジネスに関する検討を行なってきた「情報フロンティア研究会」の報告書を公表した。報告書では、今後は産業のモジュール化によるWebサービスの普及や、ブログやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)など個人による情報流通に変革がもたらされると予想。また、安心してネットワークが利用できるようにするための提言として、教育現場においてブログやSNSの仕組みを導入し、実名によるコミュニケーション能力を学ぶことなどを提案している。
研究会では、新しい価値を生み出す技術革新が起きる可能性の高い分野や、技術革新を起こすための変革が進みつつある分野を「情報フロンティア」と位置づけ、現状と今後の課題について分析を行なった。情報フロンティアとなる具体的な技術やサービスとしては「Webサービス」「セマンティックWeb」「P2P」「ブログ」「SNS」などを挙げ、これらの技術やサービスによって個人、組織、システムなどがダイナミックに連携するようになっていくとした。
ブログとSNSについては、今後さらに普及が拡大すると予想。2005年3月末ではブログを月に1度以上更新するユーザー数は約95万人、SNSに月に1度以上アクセスするユーザー数は約80万人と推計しているが、2007年3月末にはブログのユーザー数は約296万人、SNSのユーザー数は約751万人に拡大し、こうしたブログやSNSの普及が個人による情報流通の変革をもたらすとしている。
また、産業界においてはこれまでの系列企業による結びつきから、個々の業務に応じて自由に連携するモジュール型への移行が進みつつあり、こうした背景によりインターネット上の各種サービスを組み合わせて新たなサービスを提供するWebサービスの普及が進展すると予測。このほか、ネットワーク上の情報を機械的に処理する仕組みであるセマンティックWeb技術の伸展や、経済のグローバル化を背景としてソフトウェア開発の海外企業へのアウトソーシングが活発化するといった予測を挙げた。
研究会では今後の提言として、情報コミュニケーション技術のリテラシー向上、自律・分散・協調的な連携を支える情報通信基盤の構築、新たな水平型ビジネスモデルの展開の3点を挙げている。特にリテラシーの向上については、ネットワークの信頼性を高めるためには個人の利用意識の向上が不可欠であるが、現状ではネットワークの利用者としての自覚が社会的に十分に形成されているとは言いがたく、ネットワークは匿名性が高い空間という認識で、何をしてもいいという安易な発想すら助長する傾向を持っていると指摘。今後は教育現場においてブログやSNSを導入し、実名でのコミュニケーション能力を学ばせるといった取組が行なわれることに期待したいとしている。
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■URL
ニュースリリース
http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050628_7.html
( 三柳英樹 )
2005/06/28 21:01
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