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ブログ検索「Technorati.jp」が正式サービス、ブログ検索の標準を目指す


 デジタルガレージの100%子会社であるテクノラティジャパンは、ブログ検索サービス「Technorati.jp」の正式サービスを1日に開始した。同日、記者会見が開催され、テクノラティジャパンの概要などが語られた。


ウォッチリストや海外のブログ検索など機能を拡充

Technorati.jp
 Technorati.jpは、米国のブログ検索「Technorati.com」の日本語版サイトで、5月30日よりベータテストを開始している。ブログ検索の対象は、独自のPingサーバーおよび国内の主要Pingサーバーに加えて、Change.xmlやRSS配信を行なっているサイトを独自に収集、検索対象に含んでいるという。

 正式サービスでは、ベータ版で提供されていたコンテンツ要素を拡充。従来までは過去72時間に話題になったAmazon.co.jpの書籍情報を表示する「トップブックス」が用意されていたが、これに「トップDVD」「トップCD」「トップゲーム」が追加された。また、ベータ版サービスでは日本語のブログのみ検索対象だったが、正式サービスでは米国Technorati.comがカバーするブログも検索できる。

 Technorati.comで提供されていたウォッチリストサービスも導入。特定のキーワードまたはURLを登録することで、そのキーワードが含まれたブログもしくはURLにリンクされているブログの更新情報をRSSで通知する。このほか、Technorati.jpへのブログ登録機能も追加され、ユーザーが自ら登録したブログは検索結果の横に写真や画像が表示される。

 チャリティーキャンペーン「Live8」とも連動。このキャンペーンは世界10カ国(7月1日現在)で有名アーティストがチャリティーライブを行なうという国際的なキャンペーンで、technorati.jpではLive8について書かれたブログを一括表示する機能を搭載、キャンペーンをサポートする。なお、同機能はTechnorati.comでも提供されている。


メンバー登録で利用できるウォッチリスト 新たに追加された「トップゲーム」

いろいろなコンテンツがブログのオープンスタンダードで広がる

デジタルガレージ代表取締役兼グループCEOの林郁氏

デジタルガレージ共同創業者兼顧問の伊藤穰一氏
 デジタルガレージ代表取締役兼グループCEOの林郁氏は、「デジタルガレージ設立当時は、eコマースと同じくらいの早さでコンテンツ流通がもっと早く加速すると思っていたが、技術よりもビジネスの制約があって想像以上に進んでいない」とした上で、「ここにきて消費者や個人がものを言える時代がやってきている」とコメント。「本日Technorati.jpをオープンし、日本のブログ文化導入のお手伝いができることを光栄に思う。これからもますますデジタルガレージグループとしてブログを戦略的事業と捉え、世の中の役に立つことをやっていきたい」との意欲を示した。

 デジタルガレージの共同創業者兼顧問を務める伊藤穰一氏は、同氏が設立に関わったインフォシーク日本法人を振り返り、「あの頃間違えていたのは、個人ホームページを更新するにはエネルギーが必要で、アマチュアのコンテンツは本当にやりたい人以外には思ったほど爆発しなかったこと」とコメント。「ブログで何が変わったかというと、メールと同じくらい簡単に使えること。ブログの数が5カ月ごと倍増しており、これはメールやWebが始まった時代以来の伸び率」と述べ、「何かが根本的に変わったのは数字的にも明らかだろう」との意見を示した。

 伊藤氏はブログの本質を「オープンスタンダード」と指摘。「最初は文字を書いて自分の意見を載せるだけだが、それがAmazonの書籍について書けばAmazonのメタデータになり、Podcastingで音声も配信できる。Flickrもブログのスタンダードをすべて使ったサービスで、いろいろなコンテンツがブログのオープンスタンダードを使って広まっていく」。

 こうしたブログのオープンスタンダードが広まっていくことで、「メディアがストリーム化していく」と伊藤氏は考える。「今までは起きて新聞を読んで夜にテレビを見て、メールも1日1回程度だったのが、今では1日中ニュースやメールを読んでいる。メディア側もWebでリアルタイムに情報を発信していく」。伊藤氏は「Webは百科事典や新聞のストックのような固定した情報をいかに検索するかという時代から、生で送り込まれている情報をいかに整理してカスタマイズするかという流れが、高度な消費者の考え方になっているだろう」と指摘した。


ブログの数は5カ月ごと2倍に増加している 1日に5万5,000のブログが生まれている

Technoratiはリアルタイムなコンテンツ検索の標準に

米Technorati創業者兼CEOのデビッド・L・シフリー氏
 伊藤氏はTechnorati.jpについては「一見すると検索エンジンに見えるが、生きている情報をいかにリアルタイムに伝えるか、という点ではGoogleとは違う方向だ」と説明。「日本では携帯電話も普及していて、PCから離れていても繋がるという意味で本当の常時接続。そういった流れの中ではPCで検索する以外の新しい方法があるだろう。かつてのパソコン通信のメールと今のメールが違うように、中長期的にはTechnorati.jpの検索も今までの検索とは違うものになる」とし、「Googleはスタティックな検索の標準に、Technoratiはリアルタイムなコンテンツ検索の標準になるのではないか」との自信を示した。

 他事業者がブログ検索へ参入した際の差別化については「100万サイト程度のブログ検索であればどの会社でもできるだろうが、数が1,000万、1億ともなればスケーラビリティの問題が発生するため、ある程度の資金力を持って最初にやったところは生き残れるだろうという仮説を持っている」と伊藤氏はコメント。「一番のリスクは大手検索エンジンが参入することだが、構造が違うので今までの検索エンジンを使うのは難しいだろう」との見通しを示した。

 また、伊藤氏は「Infoseekで勉強したのは、Infoseekを最終的な目的地としてしまったこと。TechnoratiはAPIを公開していて、そのAPIを利用してデベロッパーがさまざまなサービスを開発している」とコメント。「Technoratiはインフラに近く、自分から何かを考えると言うよりもみんなが作っていく存在だ」との考えを示した。

 なお、スパムブログについて伊藤氏は「スパムメールとの大きな違いは、メールの場合はスパムが登場するまでに標準化されていたこと」と指摘。コメントスパム対策としてGoogleやSix Apartなどが導入した「rel="nofollow"」属性を例に挙げ、「ブログはまだ標準化の途中であり、新しいスパム技術が出るといったんは数は増えるが、その都度対策はできている」とした。

 また、米Technorati創業者兼CEOのデビッド・L・シフリー氏は「スパムが話題になるということは、このシステムに価値を見出しているからこそ」と指摘。「スパムメールは送信者が偽装できるが、スパムブログはURLを持っていることで説明責任が存在する点が違い」との意見を示した。


関連情報

URL
  Technorati.jp
  http://www.technorati.jp/

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( 甲斐祐樹 )
2005/07/01 19:13

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