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平成電電など、Wi-FiとWiMAXを組み合わせたモバイル事業を11月に開始

ユーザーには無線アクセスポイント10万台を無償配布

 平成電電とドリームテクノロジーズは、共同で出資するジャパンワイヤレスを通じて、11月より無線ブロードバンド事業に参入すると発表した。無線技術にはWi-Fi準拠の無線LANとWiMAXを採用し、MIMO技術の導入で高速化を図る。


IEEE802.11a/b/gのWi-FiとIEEE 802.16eのWiMAXを採用

会見の出席者。左からオープンループの駒井滋代表取締役社長、平成電電の佐藤賢治代表取締役、ドリームテクノロジーズの山本勝三代表取締役社長、ジャパンワイヤレスの大山茂代表取締役、アドテックスの黒瀬克也代表取締役社長

サービスの概要
 このサービスでは、IEEE 802.11a/b/g準拠の無線LANと、最大75Mbpsで時速120kmでのハンドオーバーや、アクセスポイントから2~3kmでの通信が可能なIEEE 802.16eを採用。2005年11月のサービス開始時にはWi-Fiでサービスを開始し、現在標準化作業中のIEEE 802.16eが標準化されたのち、2006年には周波数帯域を確保した上でWiMAXを導入する。

 Wi-FiはMIMO技術を採用することで、アクセスポイントからの通信距離は600mまで拡大可能であり、最大108Mbpsでの通信が可能という。「これらの数値はすでに実証実験で検証済み(平成電電の佐藤賢治代表取締役)」。また、日本国内で4.9~5.0GHz帯を利用するためのIEEE 802.11j規格も導入する予定だ。

 2006年に導入予定のWiMAXは、基地局間をつなぐバックボーンの役割を果たすほか、対応端末との無線通信もサポートする。ドリームテクノロジーズの山本勝三代表取締役社長は「街中にWi-Fiのアクセスポイントを設置し、それにWiMAXという網をかけるイメージ」と説明した。また、ジャパンワイヤレスではWiMAXにMIMO技術を導入するための検証を現在行なっているという。山本社長は「WiMAXにMIMOが組み込めれば、通信距離や速度が5割はアップするのでは」との見通しを示した。

 セキュリティ面ではIEEE 802.1X、IEEE 802.11iのほか、ハードウェア処理のVLANやVPNもサポート。また、マルチSS-IDにも対応し、SS-IDごと異なるセキュリティ設定を施すと言った対応も可能だという。VPNは企業のデータセンターや事務所の間を接続することで、アクセスポイントを設置するだけでVPNネットワークが構築できるというソリューションを提供していく。

 サービスのバックボーンには、すでに平成電電が敷設済みという全国33,000kmの光ファイバネットワークを活用。Wi-Fiのアクセスポイント設置数は全国20万カ所を予定する。アクセスポイントは自動販売機や公衆電話のほか、アドテックスが開発したコンテンツ販売端末「デジらく」にも設置、ゲームセンターやレンタルビデオ店などもエリアとして展開していくという。現在のデジらく設置数は全国約600台だが、アクセスポイント搭載型の端末を投入、これを1万台まで拡大する方針。人口カバー率は2005年末に25%、2006年上期に約50%、2006年下期に約75%、2007年下期に約85%を達成する目標が掲げられた。


Wi-Fi技術の特徴 WiMAX技術の特徴

サービス展開スケジュール エリア展開スケジュール

試験サービスを11月に開始。2006年4月に正式サービス化

ドリームテクノロジーズの山本勝三代表取締役社長
 なお、アクセスポイントの設置開始当初は人口カバー率も低く、「人口カバー率が2~3割ではユーザーはつかないだろう」と山本社長はコメント。「これは設備投資先行型ビジネスの宿命」と断った上で、アクセスポイントを設置する「デジらく」端末を使ったコンテンツ販売ビジネス、大都市圏の企業ネットワークソリューションを請け負うビジネスといった考えを披露。「コンテンツ販売側としては、海賊版や在庫のリスクがないこのシステムはメリットが高いだろう。端末台数が2,000台、3,000台と増えてくれば自然と『(デジらくに)コンテンツを置いて下さい』という流れになるのでは」と語り、「できるだけ赤字を出さずに別の収益を得たい」と付け加えた。

11月には無料の試験サービスを開始、人口カバー率が5割を超える2006年4月には有料の正式サービスに移行する予定。料金は未定だが「ウィルコムの定額サービスの半額程度を目指す(山本社長)」。また、2006年には音声通信サービスも導入予定だが、当初はPCを利用した音声通信サービスとなり、その後半年から1年の間にPDAタイプの端末などを用意するという。

 設備投資額については「この規模なら従来は1兆円は必要だが、今回のMIMO技術を使うことでアクセスポイント設置数が抑えられるため、100億円から300億円程度という試算が出ている」と山本社長はコメント。2006年12月には約18万人の加入者と約23億円の年間売上高、2008年12月には約114万人・約467億円を、2012年には約294万人・約1,621億円を見込むという。山本社長は「デジらくのコンテンツ販売の利益を含めれば、さらに1桁上の利益が見込めるだろう」と付け加えた。


アクセスポイントを設置するコンテンツ販売端末「デジらく」 サービスの加入者数と売上高の予測

ユーザーには無線アクセスポイント10万台を無償配布

平成電電の佐藤賢治代表取締役
 平成電電では、この無線ブロードバンドサービスの加入者向けに無線アクセスポイントを最大で10万人に無償配布することを発表した。アクセスポイントには1枚の無線LANカードが標準で付属し、無線ブロードバンドサービスも無料で利用できる。ただし、無償配布を受けるには平成電電が提供するアクセス回線の利用が必要。アクセス回線は、試験サービス時にはADSL「電光石火」のみだが、正式サービス時には無線ブロードバンドサービス用の個人向け光ファイバ接続サービスも提供する予定という。

 無線LANアクセスポイントを設置したユーザーは、自宅のインターネット回線が無線ブロードバンド事業のアクセスポイントとしても利用されることになる。この時、他のユーザーと自分との帯域制御といった対策は現時点で予定されていない。無償配布のユーザー募集は7月5日より開始する。

 山本社長は「このビジネスで大事なことは、全国で誰よりも早くアクセスポイントを設置すること。その方法がこの無線LANアクセスポイント無償配布だ」とコメント。佐藤代表取締役はこの無償配布を「ユーザーと我々がインフラを共用し、全国ネットワークを大至急作ってしまおうという試み」と説明した。

 アクセスポイントは基本的に屋内に設置されることになるが、佐藤代表取締役は「障害物のために電波浸透性は落ちるだろうが、見通しという点では建物の反射を利用するため、何もない郊外よりも到達距離が伸びることもある」とコメント。なお、現状のチャネルでは屋外利用ができないIEEE 802.11aについて佐藤社代表取締役は「法律はきちんと守ります」とし、屋外ではIEEE 802.11aは提供しない姿勢を示した。

 ライブドアが発表した公衆無線LANサービス「D-cubic」については「山手線圏内を中心としたサービスとは規模が違う(山本社長)」と指摘。「技術的にローミングは可能かもしれないが、現状はまったく頭にないし、話もしていない」とした。また、他のサービスとの電波干渉に関しては、自動でチャネル変更する機能をアクセスポイントに搭載することで対応するという。

 なお、平成電電とドリームテクノロジーズは、ベンチャー企業「キューウェーブ」の独自MIMO技術「QW-MIMO」を採用したサービスを2004年8月に発表しているが、佐藤代表取締役は「QW-MIMOについても開発は継続している」とコメント。「現在採用を予定しているMIMOはハンドオーバーに弱く、よりハンドオーバー性能の高いQW-MIMOも検討している」という。

 佐藤代表取締役は「日本で最初にWiMAXをやるといったのは平成電電で、1年以上ずっと検討していた」とコメント。「WiMAXはみなさん表明しているし、黙っているといけないだろう」とサービス発表の意気込みを語った上で、「我々は3Gからではなく、Wi-FiとWiMAXという方向からサービスを展開していく」と述べた。


サービスで利用する端末 ユーザーに無償配布されるMIMO対応のアクセスポイント

アクセスポイントの背面。LANインターフェイスは1つのみ 配布される無線LANカード

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.hdd.co.jp/news/news20050705.html

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平成電電など、時速100kmで1Mbpsが可能なモバイル通信サービス(2004/08/12)


( 甲斐祐樹 )
2005/07/05 18:33

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