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優れたオープンソース開発者を表彰する「2005年度日本OSS貢献者賞」


授賞式の模様。受賞者は前列左から鵜飼文敏氏、高橋浩和氏、高林哲氏、まつもとゆきひろ氏
 日本OSS推進フォーラムと情報処理推進機構(IPA)は23日、優れたオープンソースソフトウェアの開発者を表彰する「2005年度日本OSS貢献者賞」の受賞者4人を選出し、表彰式を開催した。

 2005年度日本OSS貢献者賞の受賞者は、Linuxディストリビューション「Debian Project」の主要メンバーである鵜飼文敏氏、ファイルシステムの高速化などLinuxカーネルのさまざまな機能強化に携わる高橋浩和氏、全文検索エンジン「Namazu」などの開発者である高林哲氏、プログラミング言語「Ruby」の開発者であるまつもとゆきひろ氏の4人。

 日本OSS貢献者賞は、日本におけるオープンソースソフトウェア開発の振興を図ることを目的に、影響力のある開発プロジェクトを創造、運営した開発者などを表彰するもので、今回が第1回となる。実行委員会からの推薦および一般からのWebを用いた他薦により、39人の候補者の中から、徳田英幸慶應義塾大学教授を審査委員長とする審査委員会によって受賞者4人が選出された。

 表彰式に続いて行なわれた受賞者によるプレゼンテーションでは、各氏が携わっているオープンソースソフトウェアの概要や、開発に携わる上で感じた問題点などが発表された。

 鵜飼氏は日本のDebian開発者団体「Debian JP Project」のこれまでの活動や、フリーソフトウェアの普及や開発者支援を目的とした特定非営利活動法人「フリーソフトウェアイニシアティブ」の活動内容などを紹介した。高橋氏は、Linuxカーネルの開発者になるための条件として、モチベーションの維持、コミュニケーション力、センスと技術力などに加えて、お金と時間も必要であるとした。また、日本にはLinuxカーネルの開発者が少ないが、企業を越えた技術者同士の横のつながりがないといった日本の風土にも問題があるのではないかと語った。

 高林氏は、オープンソースソフトウェアの開発を続けてきたことで他の開発者とのネットワークができたことや、技術の継続的な学習といった利点があったとした。一方で、大学などは研究成果をオープンソースとしてもっと公表してほしいと語り、プログラミングは低級な仕事であるという風潮があるのではないかという危惧を示した。また、まつもと氏も、オープンソースソフトウェアの未来は開発者の地位向上が重要であるとして、開発者がオープンソースソフトウェアの開発に理解のある企業に転職するなど、人材の流動化を推し進めることが必要ではないかと語った。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.ipa.go.jp/about/press/20050823.html
  日本OSS推進フォーラム
  http://www.ipa.go.jp/software/open/forum/


( 三柳英樹 )
2005/08/23 20:26

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