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SunとGoogle、“対Microsoft”を匂わせる戦略的提携


 米Sun Microsystemsと米Googleは4日、両社が開発したソフトウェアテクノロジーを宣伝・配布するために協力することで合意したと発表した。ただし、この提携は単にソフトウェアの配布にとどまらず、Microsoft以外の将来のアプリケーションのあり方に一石を投じる可能性も秘めている。


Java.comのJREダウンロードオプションに「Google Toolbar」

 今回の発表で明らかになったのは、Sunが「Java.com」で配布しているJava Runtime Environment(JRE)のダウンロードオプションとして「Google Toolbar」を含めるというものだ。JREは月間のダウンロード数が2,000万回にも及び、特に企業などで利用されることが多くなっている。Google Toolbarの配布はあくまでもオプションであるため、JREと同じ数だけダウンロードされるわけではないが、間違いなくGoogle Toolbarの配布数を増加させることになるだろう。

 SunのScott McNealy CEOは記者会見の中で「NetscapeがJREのためにしたことを、JREがGoogle Toolbarのためにできると我々は信じている」と説明した。これは、1995年にNetscapeが絶頂期を迎えていたころ、ブラウザの中にJavaランタイムを統合したことを指している。これを期にJavaは一気にメインストリームに躍り出て、現在のJavaの繁栄を築くきっかけとなった。

 今回発表されたのはあくまでもJava.comにおけるGoogle Toolbarの配布だが、逆にGoogle Toolbarの中にJREを含めるかとの質問に対してGoogleのEric Schmidt CEOは、今回の提携の結果としてユーザーに好評であれば、それも検討する考えであることを明らかにした。SunのJREはMicrosoftとの提携関係が切れた後、独自に配布するしかないため、もしそのような関係が築き上げられればSunにとっては大きな財産となるだろう。

 これ以外の提携内容としては、Sunが開発したJREや、OpenOffice.orgなどのオフィススイート製品を宣伝し、強化することで両社が協力していくことも明らかにされた。


噂されていた「Google Office」については「具体的な製品計画はない」

 SunとGoogleが4日に合同記者会見を行なうことは前日の時点で明らかになっていたが、米Internetnews.comはこの件について、Webサービスに基づく「Google Office」なるオフィススイート製品を発表するのではないかと推測していた。記者会見でもこの質問が投げかけられたが、GoogleのSchmidt CEOは「具体的な製品計画はない」と否定した。

 しかし、Webメールに見られるように特定のソフトウェアを使うということと、あるWebサービスを使用するということの境界線が曖昧になっていることを指摘し、そういった可能性を完全には否定しなかった。仮にそうした製品が登場すれば、Microsoft Officeの独壇場となっている分野に真っ向から対立するものとなる。そうでなくても今回、OpenOffice.orgの強化で提携するとしていることは注目に値する。


“対Microsoft”でさらなる協力も?

 両社による記者会見は極めて和やかな雰囲気で行なわれた。それもそのはずで、両社の間には深い人間関係が横たわっているからだ。まず、GoogleのSchmidt CEOはSunの元CTOであり、SunのMcNealy CEOの部下として働いていた。このことは記者会見の中でも頻繁に取り上げられた。

 また、Sunの共同創業者であるAndrew Bechtolsheim氏は、Googleがスタンフォード大学で産声を上げたときに、即座に10万ドルの小切手を切ることによってGoogleの創業を手助けしたことが知られている。同氏もまた記者会見に出席し、3人が和やかに席に着いている光景が見られた。それ以外にも伝説的なベンチャーキャピタリストで大手ベンチャーキャピタルKleiner Perkins Caufield & ByersのパートナーであるJohn Doerr氏は、両社の取締役会に籍を置いている。

 さらにこれだけでなく、McNealy CEOは「Googleにいる連中が極めて優秀なことはよく知っている。もともとはSunで働いていたんだから」と冗談めかして語ったが、転職が多いシリコンバレーにあって両社に勤めた経験のある優秀なエンジニアは数多い。こうしたことから、両社の提携は今回発表された内容だけにとどまることなく、さらに多くのことが検討されていると考えるのは想像に難くない。

 記者会見の最後にはMcNealy CEOに対して、ライバルであるMicrosoftへの対策について質問が飛んだ。McNealy CEOは、1982年以来Sunが続けてきたオープンネットワークモデルは正しいものであり、そのための提携関係を続けること、そしてユーザーに選択権を与えることの2つを挙げた。Sunとgoogleの両社から今後どのような製品が出てくるかにますます注目が集まりそうだ。


関連情報

URL
  ニュースリリース(英文)
  http://www.sun.com/smi/Press/sunflash/2005-10/sunflash.20051004.1.html
  記者会見のWebキャスト(英文)
  http://www.sun.com/2005-1004/feature/index.html


( 青木大我 taiga@scientist.com )
2005/10/05 12:07

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