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会見で握手をするSBIホールディングス代表取締役CEOの北尾吉孝氏(右)と住友信託銀行取締役社長の森田豊氏(左)
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SBIホールディングスと住友信託銀行は25日、ネット銀行を共同設立するとともに、SBIグループと住友信託銀行グループ間で資本・業務提携を行なうと発表した。ネットとリアルを融合したプラットフォームで銀行・証券・信託の各商品を提供する、インターネット銀行初のフルバンキング業務を展開する。
共同設立会社の名称は未定で、2007年度上期の営業開始を目指す。出資金は営業開始時に200億円程度で、株主はSBIグループが50%、住友信託銀行グループが50%となる。資本提携の概要としては、住友信託銀行が11月にSBIホールディングスの普通株式を第三者割当増資により70億円をめどに引き受けるとともに、SBIホールディングス関連会社のイー・トレード証券の普通株式を30億円をめどに取得。一方、SBIホールディングスは、住友信託銀行の普通株式を100億円をめどに取得する予定だ。
新たに設立するネット銀行(以下:新ネット銀行)では、イー・トレード証券との全面提携により、銀行と証券を融合したワンストップの総合金融サービスを提供する。また、金銭信託、遺言・遺産整理、不動産、証券代行などの信託銀行取扱商品、ベンチャー企業向け融資などのインキュベーション・バンキング商品、個人向け住宅ローンなどを扱うという。既存のネット銀行では決済サービス中心の業務を行なっているが、新ネット銀行では、「決済」サービスに加えて「運用」および「調達」機能を兼ね備えることが特徴だ。
2007年度上期の開業予定で、目標口座数は3期目で50万、5期目で70万、7期目で80万。収益については、3期目で黒字化、5期目で50億円の業務純益を達成して累損を解消、7期目で100億円の業務純益を目指す。
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基本合意のスキーム
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新ネット銀行設立までのスケジュール
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新ネット銀行のビジネスモデル
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25日、SBIホールディングス代表取締役CEOの北尾吉孝氏と住友信託銀行取締役社長の森田豊氏が、新ネット銀行の共同設立に関する会見を開催。冒頭で森田氏は「金融界で革新をもたらさんとするSBIホールディングスとのパートナーシップはたいへん意義深い。新ネット銀行の事業領域は、ネットが得意とする決済機能のみならず、資産運用や証券決済、個人ローン、早期段階にある事業法人への資金供給までカバーできる」とコメントした。
森田氏は新ネット銀行設立の狙いについても触れ、新ネット銀行と全面提携するイー・トレード証券と住友信託銀行の顧客層が補完関係にあることを強調した。「住友信託銀行は、団塊の世代に強みを有しているが、20~40歳の“資産形成層”の厚みに乏しい。一方、イー・トレード証券は資産形成層の顧客に強みを持っており、両者の顧客層の間に有効な補完関係が成り立つ。SBIが強みとしている、創業から公開前までの企業群に関しても補完関係があてはまる」。
SBIホールディングスの北尾氏は、「ファイナンスを主たる事業分野とするからには、銀行業は必要不可欠という基本認識を持っていた」として、SBIグループ設立当初から銀行業を中核的事業に据えることを視野に入れていたことを明らかにした。実際にSBIは、米国ではインターネットバンキングを展開するCompu Bank社へ出資したり、E*TRADE FINANCIAL Corporationにおける銀行事業を分析。日本でもスルガ銀行のソフトバンク支店を運営してきた。北尾氏は、銀行業参入に向けたこれまでの実践から「インターネット銀行には決済、運用、調達の三大機能の保有が不可欠」との結論に至ったという。
続けて北尾氏は、新ネット銀行とイー・トレード証券の連携により想定されるサービスについても言及。銀行口座と証券口座間における振替や、両口座を統合したWeb取引画面など、米国のE*TRADEが提供するサービスを引き合いに出した。また、銀行と証券の口座間での資金移動における即時入出金サービス、イー・トレード証券口座で保有する証券を担保にしたローンの提供なども紹介した。このほか、新ネット銀行の連携分野として、ベンチャーキャピタル事業や不動産・住宅関連事業との連携などが考えられるという。
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新ネット銀行設立の狙い1
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新ネット銀行設立の狙い2
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関連情報
■URL
ニュースリリース(SBIホールディングス)
http://www.sbigroup.co.jp/news/2005/1025_a.html
ニュースリリース(住友信託銀行、PDF)
http://www.sumitomotrust.co.jp/IR/company/jp/pdf/nr2005/051025.pdf
( 増田 覚 )
2005/10/25 20:50
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