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IPAの仲田雄作理事
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情報処理推進機構(IPA)は16日、11日に提供を開始したApache Tomcatの脆弱性修正プログラムや、自治体へのオープンソースソフトウェアの導入実証実験など、同機構の活動内容に関する説明会を開催した。
IPAでは、オープンソースソフトウェアの普及に向けた取り組みとして、自治体の実際の業務にオープンソースソフトウェアを導入する実証実験を行なう。実証実験を行なうのは北海道札幌市、栃木県二宮町、大分県津久見市、沖縄県浦添市の4つの自治体で、応募のあった14件の中から選ばれた。
北海道札幌市では、水道局にオープンソースのデスクトップOSを導入し、日常業務のほかテレビ会議などによる連絡体制の構築を行なう。栃木県二宮町では、町役場全体にオープンソースのデスクトップOSを導入し、通常業務を既存のOSからリプレースできることを実証する。
大分県津久見市では、ネットワークブートによるクライアント環境をオープンソースOSで構築し、自治体業務に適用可能であることの検証を行なう。沖縄県浦添市では、住民記録システムや税関連システムなどの基幹業務システムについて、オープンソースOSによる多様な端末構成で実証実験を行ない、現行のPC環境との比較検証を実施する。
また、オープンソースソフトウェアについては、性能・信頼性評価の手法および障害解析支援ツールを開発し、2005年度の成果を公開した。Javaアプリケーションサーバーの「JBOSS」や、データベースソフトの「PostgreSQL」「MySQL」などについて、ベンチマークツールや性能評価結果を公表。オープンソースソフトウェアの導入を検討している企業などに対して、評価基準を提供する。
また、オープンソースソフトウェアによるシステムに障害が発生した場合などに、障害解析ツールを用いた解析手法の集約とツールの評価を実施。障害解析の具体的な手法・手順なども公開する。これらの作業を進めてきた日本OSS推進フォーラム開発基盤ワーキンググループでは、明確な評価基準が明らかになったことで、これを1つの評価尺度として利用しながら開発を進められると成果を示した。また、開発コミュニティとのやりとりも活発化しており、今後も性能・信頼性評価と障害解析ツールの開発を継続していくとしている。
このほか、IPAが11日に公開した「Apache Tomcat」の脆弱性修正パッチについても説明が行なわれた。
Apache Tomcatの開発元であるApache Software Foundation(ASF)は、問題となっているApache Tomcatは古いバージョンで、ユーザーには最新版の利用を推奨しているとして、修正パッチを公開していない。しかし、IPAでは問題となっているTomcat 4.xの利用者は依然として多く、企業などから脆弱性への対処方法に関する複数の問い合わせがあったことから、修正プログラムを独自に公表することにしたという。
IPAでは今後も、製品開発者により修正プログラムが提供されず、オープンソースソフトウェアなどでIPAが独自に修正プログラムの作成・配布が可能な場合などには、脆弱性の影響度を考慮し、必要に応じて修正プログラムを作成するとしている。
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性能・信頼性評価、障害解析ツール開発プロジェクトの概要
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Apache Tomcatの稼動状況。問題となった4.x以前のバージョンも依然として利用されている
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関連情報
■URL
情報処理推進機構
http://www.ipa.go.jp/
日本OSS推進フォーラム開発基盤ワーキンググループ
http://www.ipa.go.jp/software/open/forum/development/index.html
ニュースリリース(自治体へのオープンソースソフトウェア導入実証について)
http://www.ipa.go.jp/software/open/2005/stc/press_start.html
ニュースリリース(性能・信頼性評価、障害解析ツール)
http://www.ipa.go.jp/software/open/2005/benchmarking/1116.html
■関連記事
・ IPA、Apache Tomcatの脆弱性修正プログラムを独自に提供(2005/11/11)
( 三柳英樹 )
2005/11/16 20:25
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