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「楽天は気になる大事な提携先」と語るTBSの井上社長
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TBSは、楽天と資本・業務提携に関する協議を開始する覚書を30日に締結したことを受けて、同日17時から東京都港区の新高輪プリンスホテルで記者会見を開催した。
今回の覚書締結の経緯としては、楽天がTBSに提案していた経営統合の申し入れを撤回するという打診が仲介者に寄せられたことが発端だという。その後、みずほコーポレート銀行の斉藤宏頭取から「楽天との間で何らかの合意ができないか」という強い勧めがあり、覚書締結に向けての話し合いが急速に進んだとしている。
30日は、楽天からの経営統合の申し入れに対する回答の提出日だった。TBSの井上弘代表取締役社長は、「申し入れが撤回された今、これにイエスあるいはノーというのは適当ではないが」と前置いた上で、楽天側への回答で「相手を1社に固定しないで、数多くの企業と連携する」というTBSのIT戦略を披露するつもりだったと述べた。今回の覚書についてもこの戦略に沿った内容であると付け加え、個人的見解として「今後、他の企業を排除する形で楽天と提携する可能性は少ない」と語った。
● 楽天がTBS株を手放さないことは「一定の緊張感が残る」
覚書では、楽天が保有するTBSの持ち株比率を10%未満まで低下させ、これを超えるTBS株についてはみずほ信託銀行に信託することが記されている。ただし、協議が打ち切られた場合、「楽天が信託されたTBS株を取得することは可能」だが、「今回の覚書は、お互いの信頼関係を築くという話なので、一方的に打ち切られることはないと信じている」とコメントした。
なお、楽天のTBSに対する最終的な出資比率は、双方の話し合いにより決定する。これについて井上社長は、「楽天がTBS株を手放すことにはなっていないので、一定の緊張感は残る」と本音を覗かせる。そのほか、引き続き横浜ベイスターズを保有することを前提に、野球協約を遵守することも表明した。
両者の業務提携プランとしては、「テレビ番組を利用したイーコマース」「オンライン放送」「ポータル活用」などが挙げられた。これまで楽天から提出された提案書について、井上社長は「斬新なものはなかった」と感想を述べているが、「放送とインターネットの連携」を実現するために、双方の協議の中で新しいビジネスモデルが出てくることを期待しているとした。
協議期間は2006年3月末日までと指定されている。井上社長は「そう簡単にビジネスモデルができるとは思っていない。本来は6カ月くらいほしい」としているが、この期間は双方の話し合いにより延長が可能という。
質疑応答では、TBSの提携先企業の中で楽天は、「数多くある提携先の1つ」「ちょっと気になる提携先」「ものすごく大事な提携先」のどれにあてはまるかとの質問も寄せられた。これに対して井上社長は、「株主であるから気になることは気になる」と前置き、「気になる大事な提携先」と回答した。
なお、TBSが新高輪プリンスホテルで記者会見を開始したのは17時。その1時間後には、隣接する高輪プリンスホテルで楽天が記者会見を開催した。両者が別々に会見を開いた理由として井上社長は、「TBSと楽天は、これから協議を開始するだけ。新ビジネスの発表時には双方揃って会見することもあるかもしれない」と話している。
関連情報
■URL
TBS
http://www.tbs.co.jp/
楽天
http://www.rakuten.co.jp/
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( 増田 覚 )
2005/11/30 21:07
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