日本IBM、ユーザーの“使い勝手”を研究するラボを大和事業所に新設

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日本IBM、ユーザーの“使い勝手”を研究するラボを大和事業所に新設

UCDのリーダーを務める日本IBMの山崎和彦氏

　日本IBMは6日、ユーザー中心の設計手法(User Centered Design 以下UCD)をもとにしたデザインを提案する研究開発施設「DCEイノベーションラボ」を神奈川県大和市の大和事業所内に新設する。同ラボでは、自動車、携帯電話、情報家電などデジタル情報機器分野における、IBMの最先端技術を展示している。

　IBMでは2000年以降、利用者にとって使いやすい製品やサービスをデザインすることを目的に、製品の開発全体にわたって利用者の声を反映するというUCDの設計手法を体系化。これをもとに、ハードウェアやソフトウェアの開発などを行なってきたという。これまでThinkPadの開発に反映したほか、同社の顧客向けにデジタルオーディオプレーヤーや医療機器などのデザインを提案してきた。

　今回新設されるラボは、大和事業所における初のユーザー体験型の研究開発施設。UCDを進めるチームには、プロジェクトをまとめる責任者のほか、ビジュアルデザイン、ユーザーリサーチ、ユーザー評価、マーケットプランニングなどの専門家が在籍する。UCDのリーダーを務める日本IBMの山崎和彦氏は、「ユーザーがどのような体験をすれば満足するかということを考えながら、楽しい体験“Smile Experiment”を提供するのがDCEイノベーションラボの目的。これを実現するには、どんな人が使うのか、どこで使うのか、いつ使うのか、という3つの軸を分析する必要がある」と語る。

ハンドル右側に設置されたリーダーがRFIDカードを読み取る

ユーザー評価ラボでは、ユーザーが操作する携帯電話のディスプレイをモニタリング

　5日には施設公開に先立ち、報道陣向けの施設見学会が開催された。施設内では、車のコクピットの模型が設置されており、ドライバーシートに座ると、携帯するRFIDに記録されている固有のユーザープロファイルを読み取り、メーターやディスプレイが運転者に合わせて切り替わるというデモが実施された。

　RFIDにはドライバーの経験や嗜好が記録されており、コクピットに搭載されたリーダーがユーザープロファイルを読み取るという仕組みだ。デモでは、PCを頻繁に使う42歳男性と、携帯電話のヘビーユーザーである26歳女性をユーザーに想定。42歳男性のプロファイルを読み取ると、男性があらかじめPCで調べておいた目的地がインテリジェンスキー経由で転送される。26歳女性のプロファイル場合は、あらかじめ携帯電話で調べていた目的地がBluetooth経由で転送された。

　携帯電話向けの新型ユーザーインターフェイスも紹介され、ユーザーに合わせて操作画面が変わる様子が展示された。コクピットの展示と同様に42歳男性と26歳女性をユーザーに想定しており、男性の場合はアドレス帳から直接メールを送信するなど、PCのインターフェイスを用いた画面が映し出された。一方、女性の場合は、アドレス帳の登録者が文字ではなくすべて写真で表示されるアイコンベースのインターフェイスを紹介。カメラ機能では、プリクラをモチーフにしたフレーム機能を紹介した。

　このほか、ユーザビリティテストを実施するユーザー評価ラボが公開され、携帯電話の評価実験のデモが行なわれた。評価ラボでは、ユーザーが携帯電話のサービスメニューを操作。携帯電話のディスプレイをカメラでモニタリングしながら、あるサービスを使用するまでに費やした時間などを計測し、操作の使い勝手の良さを計測する。

　日本IBM取締役専務執行役員で大和事業所のトップを務める内永ゆか子氏は、「製品の使い勝手の良さは、製品の差別化につながる。IBMではデザインコンサルティングに注力してきたが、DCEイノベーションラボにはこれまでの取り組みが集約されている。IBMの最先端技術をラボで体験してもらい、具体的な製品化につながれば」と語り、UCDをデジタル情報機器の開発に活用する考えを示した。


男性のプロファイルを読み込んだディスプレイ	女性のプロファイルを読み込んだディスプレイ


利用者ごとに携帯電話のユーザーインターフェイスを切り替えることも可能	PCのヘビーユーザー向けに変更された携帯電話のユーザーインターフェイス

関連情報

■URL
　日本IBM
　 http://www.ibm.com/jp/

（増田覚）
2005/12/05 20:41

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