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2G/3Gの携帯電話網やPHS網、無線LANなど複数の異なる無線回線を効率的に束ねて、インターネット接続に利用する
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NECは30日、既存の無線インフラを活用することで、高速に移動するバスや列車などの乗り物からインターネット接続できる「BBRideシステム」の実証実験を開始したと発表した。NECコンピュータテクノ、京王自動車、山梨交通観光バスが協力し、東京都府中市と山梨県甲府市を結ぶ法人向け路線バスで3月まで実施する。
航空機や列車、バスといった公共交通機関でのインターネット接続については現在、衛星通信や無線LANを活用した通信技術が検討されているが、衛星通信の場合はトンネルなどによる不感地帯、無線LANの場合は新規インフラ構築コストなどの問題点も指摘されている。
NECでは、これらの問題を解決するためにBBRideシステムを開発。2G/3Gの携帯電話網やPHS網、無線LANなど複数の異なる無線回線を効率的に束ねる多重化技術(モバイル・インバース・マックス)や、最大16個の通信インタフェースを搭載可能な車載型モバイルルータの開発などにより実現したインターネット接続技術だ。NECによれば、ADSLと同程度の帯域を持つ安定した回線を実現できるため、ノートPCなどに搭載されている無線LAN機能さえあれば、高速に移動する乗り物内からインターネット接続できるという。
実験では、走行中のバスで乗客にインターネット接続を体験してもらう。実験を通じて、乗客の利便性と事業性を両立させるシステム運用課題の抽出、正式サービスに向けた運用手順の確立を目指す。高速移動によるさまざまな環境変化に対処できるよう、技術と運用の両面からBBRideシステムの完成度を高めていくことが狙いだ。
なお、実験走行区間では3G回線を最大7本利用する。平均通信速度はダウンリンクが1,050kbps、アップリンクが250kbps。中央自動車道の笹子トンネルや小仏トンネルでは通信速度こそ低下したものの、50kbps以上での接続を維持した。
NECでは今後、さらに通信事業者や交通機関各社の協力も得て、多様な乗り物からのブロードバンド接続サービスの実用化を目指す。また、BBRideシステムの構成技術であるモバイル・インバース・マックス技術は、無線事業者単体では実現困難な広帯域性と広域性のある無線アクセス回線を提供できる特長を持つため「MVNOの基盤技術となる」としている。
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通信速度は低下したが、笹子トンネルや小仏トンネルでも接続自体は維持
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実験に使われる車両や通信機器
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0601/3002.html
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( 鷹木 創 )
2006/01/30 14:20
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