2006年末までに世界最大のホットスポットネットワークを構築し、格安のサービスを提供することを目標としているスペインのFONは5日、同社に対してGoogle、Skype、大手ハイテク系ベンチャーキャピタルのSequoia CapitalとIndex Venturesが合計1,800万ユーロ(約25億7,000万円)を出資したと発表した。
FONはこれまでの有料ホットスポットのビジネスモデルとは一線を画しており、むしろeBay、Skype、ICQなどが採用して大きな成功を収めたオンラインコミュニティを構築するためのビジネスモデルを採用するという。
FONは自らホットスポットを設置するのではなく、一般の人々に設置してもらい、その帯域幅を共有する。FONはそのためのソフトを提供してインストールしてもらうか、あるいはすでにFONのソフトをインストール済みのルータを格安で販売して設置してもらう。このソフトにはセキュリティ機能が組み込まれており、FONにアクセスしてきた人を会員番号によって識別できるため、これまでの無料ホットスポットより安全性が高いと主張している。こうしたホットスポットを設置した人々を「Fonero」と呼び、FONのコミュニティを形成する。
会員数が少ない現時点では、Foneroになるメリットはそれほどない。しかし将来Foneroが増えるにつれてFONのホットスポットを利用したい人々も増えるだろう。そうなった時にFONは利益を上げるために3種類の利用者像を想定している。
1つ目はボランティア精神によって全く無料でホットスポットを設置してくれる「Linus(Linuxの開発に携わり、無料でLinuxを利用できるようにしたLinus Torvalds氏から採った名前)」。2つ目は自分がホットスポットを設置する代わりに帯域幅使用料をFONから受け取る「Bill(MicrosoftのBill Gates氏から採った名前)」。3つ目はFONのホットスポットネットワークを有料で利用し、自らはホットスポットを設置しない「Aliens」。これらの人々によって成り立つコミュニティによってFONはビジネスモデルを成り立たせようと考えている。
FONは会社設立から90日しか経っておらず、FONのソフトが対応しているルータの数も限られているため、日本国内でFONのFoneroになれるかどうかは不明だ。しかしFONのサイトによると、インターネット業界に大きな影響力を持つ多くの著名人がFONを支持しているという。その中にはジャーナリストのDan Gillmor氏、ビジョナリーのEsther Dyson氏などのほか、日本では伊藤穰一氏の名前も挙げられている。FONを創業したのは著名なアルゼンチン人の起業家Martin Varsavsky氏で、同氏はこれまでにViatel、JazzTel、Ya.comなどの企業を成功に導いてきた実績を持っている。
関連情報
■URL
FON公式ブログに掲載された発表文(英文)
http://blog.fon.com/en/archive/general/a-dream-come-true.html
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2006/02/06 12:15
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