1990年代半ばにインターネット技術が普及する過程において、大学教育と大学生が歴史上かつてなかったほど重要な役割を果たしたとの研究結果を、カナダのトロント大学の研究者が発表した。
研究を行なったのはトロント大学Joseph L.Rotman School of ManagementのAvi Goldfarb教授。論文が「International Journal of Industrial Organization」の3月号に掲載される。
Goldfarb教授によると「大学で発明されるほとんどのテクノロジーは研究論文誌や企業との提携によって広がっていく。インターネットは、学生が社会に持ち込んだという点でそれとは違ったパターンをたどった」と指摘する。
Goldfarb教授は10万5,000件近くの調査結果のデータを解析し、年齢層、業界、どれくらいテクノロジーに通じているかなどの要素を比較検討した上で、1990年代半ばの大学教育がインターネット利用状況に与えた影響は他の時代に比べてはるかに大きかったことを見出した。この影響は同世代の大学生だけでなく、学生の家族にまで及んでいた。
この傾向は特に低所得者層において顕著で、例えば、1990年代半ばに家族の1人が大学生であった場合、インターネットを利用するようになる割合は、そうでなかった場合より50%以上高かったという。
このように技術を広める上で大学が重要な役割を果たすことをGoldfarb教授は指摘し、「IBMはたくさんのものを発明し、その従業員はそれを使うかもしれないが、彼らはIBMにとどまるため、そのテクノロジーが大きなインパクトを与えるのは難しい。人々は大学にわずか4年しかいない。卒業すると彼らは世界中に、そしてあらゆる異なる業界へと散らばっていくのだ」と説明している。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.news.utoronto.ca/bin6/060222-2074.asp
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2006/02/23 12:04
- ページの先頭へ-
|