NTT(持ち株)は、3月31日に行なった社長会見の要旨を公開した。会見の席上で和田紀夫社長は、NTTグループの資本関係分離や次世代ネットワークのフィールドトライアルに関して説明を行なった。
和田社長は、竹中平蔵総務大臣の私的懇親会においてNTTグループの資本関係を分離すべきだという意見が出ている件について、「私は資本関係を分離するという考えは持っていない」とコメント。「IP化の進展に伴って、県内/県間、固定/移動などの区分が消滅しつつある中で、顧客ニーズに応えていくのには融合・連携サービスが不可欠。その観点から見ても、資本関係は確保していきたい」と語った。加えて、和田社長は「国内外で他事業者も合併や買収を繰り返しながら事業統合を進めている現状で、逆の方向に進むことはユーザーへのサービス提供上からもできない」と考えを示した。
NTT東日本、NTT西日本のアクセス網分離に関しては、電柱やネットワークのオープン化を挙げたのち、「WiMAXやWi-Fi、WiBroといった新しい手段が出てきている中で、アクセスの分離というのはなじまないのではないか」と指摘。「アクセス網を分離するとなると、サービスを安定的に、そしてユーザーの要望に柔軟に対応しながら提供するのに不都合が起こると思っている」と付け加えた。また、NTT以外にもアクセス網を提供する電力系事業者などがあることも触れ、「そういった方々との関係は一体どういうことになるのかということにもなる」とした。なお、研究開発部門の分離についても「キャリアとして研究開発部門を手放す考えはない」と述べた。
社長会見ではまた、同日に発表された次世代ネットワークのフィールドトライアルに関する説明もあった。このうち、映像配信サービスに関してはハイビジョン品質のコンテンツもトライアルで行ないたい考えを示し、MPEG-2方式に加えて、H.264方式も重要視しているいう。
また、フィールドトライアルに参加を希望する企業に関しては「どのような企業でも受け付けさせていただく」とした上で、「決してクローズドにしようとは思っておらず、全部オープンでやろうと考えている」と述べた。移動体通信との相互接続におけるNTTドコモと連携したFMCサービスについては、「ロードマップで言えば、ステップ3での実施を考えている」と述べ、「その頃には携帯電話の品質は、3.5世代以上になっていると思う」と和田社長はコメントした。また、他キャリアとの相互接続条件や将来のアクセスチャージなどの設定に関しても、フィールドトライアルを通じて検討を行なっていくという。
このほか、会見ではソフトバンクグループによるボーダフォン日本法人の買収に関しても触れ、「ソフトバンクとしても自分の支配下にフルラインナップのメニューを備えておきたいということがあるのだろう」とコメント。「今後はFMCの問題もあり、固定との関係で言えばインターネットやWebサイト、ポータルサイトを使ったサービスの総合化を考えられているのかと想定しており、そういう意味ではかなり変わった事業展開が出てくるのではないか」と述べた。
関連情報
■URL
NTT社長会見
http://www.ntt.co.jp/kaiken/index.html
関連記事:NTT社長会見、「12月の光アクセス純増数は過去最高の数値に」[Broadband Watch]
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/12543.html
■関連記事
・ NTTが12月からフィールド実験、IPマルチキャストや品質確保型IP電話など(2006/03/31)
( 村松健至 )
2006/04/04 18:07
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