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第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスター・コレクション
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東京大学大学院情報学環は4日、第一次世界大戦期に作成されたプロパガンダポスターをアーカイブ化したWebサイトを公開した。海外で同様のサイトは存在するが、国内でプロパガンダポスターをネットで一般公開するのは初めてという。利用は無料。
「第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスター・コレクション」では、米国やヨーロッパが第一次世界大戦中にプロパガンダとして作成したポスターを掲載。アンクル・サムが「I WANT YOU FOR U.S.ARMY」と指を指す米国陸軍の募兵ポスターなど合計661点を閲覧できる。これらのコレクションは、第一次世界大戦期に外務省情報部が収集したもので、第二次世界大戦後に東京大学新聞研究所(現大学院情報学環)に寄贈されていた。
ポスターは長辺1,000ピクセルのJPEG画像で表示することが可能。各ポスターには、タイトルとその翻訳、「募債」「募兵」「告知/声明」などの内容分類、制作国、発行年、制作者、印刷方式、ポスター中のテキストとその翻訳文などが、メタデータとして付与されている。そのため、これらの情報をもとにしてポスターを検索できる。検索結果画面では、各メタデータごとにソートする機能も備える。
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「米国陸軍には君が必要だ」と指さすアンクル・サムを描いた募兵ポスター。1917年に米国で発行
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「ああ!!私が男ならいいのに」というコピーの募兵ポスター。1917年に米国で発行
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東京大学大学院情報学環の吉見俊哉学環長
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東京大学大学院情報学環では、2000年からアーカイブ化に着手し、ポスターのテキスト解読や版式調査、画像データベース構築などを進めてきた。テキストの解読については、ほとんど手書き文字だったためOCRソフトが認識せず、スタッフが一字一句を読み取った。版式調査では、ルーペを使ってポスターを判読したという。なお、印刷技術の解析作業は、女子美術大学の森啓教授や印刷博物館の宗村泉氏らが協力したほか、アーカイブ化する際にはファイルメーカーのデータベースソフト「FileMaker Pro 8」を採用した。
東京大学大学院情報学環の吉見俊哉学環長は、「20世紀初頭に作成されたポスターの印刷技術を判読できる人がほとんどいなくなってきている。アーカイブ化することで、失われつつある印刷技術を継承したい」と語る。
今後は、プロパガンダポスターを多数所蔵する京都工芸繊維大学など外部の組織と連携して、アーカイブの充実化を図る考えだ。将来的には、東京大学情報学環にある「幕末かわら版」「明治初期新聞錦絵」「近代日本新聞号外」などのコレクションもアーカイブ化して一般公開したいという。
関連情報
■URL
第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスター・コレクション
http://archives.iii.u-tokyo.ac.jp/
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( 増田 覚 )
2006/04/04 18:14
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