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日本の技術者が世界の標準を作った〜IPv6のKAMEプロジェクト完成パーティ


慶應大学の村井教授
 慶應義塾大学の村井純教授が代表を務めるWIDEプロジェクトは27日、KAMEプロジェクトの完成を祝うパーティを都内で開催した。おもにプロジェクト関係者の労苦や協力を労う内輪のパーティながら、所信表明演説で「IPv6」という言葉を出してIT関係者を驚かせた森喜朗元首相のほか、小坂憲次文部科学大臣など政治家も出席、東大の和田英一名誉教授が乾杯の音頭を取るなど、豪華な顔ぶれが揃い、プロジェクトの成功を祝った。

 KAMEプロジェクトは、IPv6技術の研究開発をテーマとして1998年から活動してきたWIDEプロジェクトの中のプロジェクトの1つ。IPv6のプロトコルスタックを作り、オープンソースとして世界中に公開、配布できる環境を作るという当初の研究開発の目的を達成したことで、研究プロジェクトとしては1つの区切りとする。

 挨拶に立った村井教授は、KAMEプロジェクトで開発したIPv6のプロトコルスタックが、BSDベースとなったMac OSなどコンシューマ製品にも搭載されるようになるまでの経緯を説明。日本がIPv6のプロトコルを作るために優秀な開発者を無償で2年間貸し出した企業や大学、研究費で協力した企業などへ、ユーモアを交えながら感謝の辞を述べた。

 企業の協力について、各企業から無償で優秀な開発者を2年間プロジェクト専業として人材提供してほしいと依頼した話では、村井教授は、「欧米では、この話をいくらしてもわかってもらえないので、欧米人に聞かれた場合は『欧米人は人材提供にお金を払うが、日本ではお金より大変な力を持っているものがある。それはお辞儀だ』と説明している」と述べ、会場の笑いを誘った。続けて「しかし、それはそんなに事実と離れた説明でもないと考えている」と述べ、世界のインターネットの基盤となるIPアドレス問題への使命感によって、企業が無償で各企業のエース的な存在の優秀な人材を貸し出してくれたことに対して、日本だからこそ可能だったことを示唆した。

 村井教授はスピーチの中で、UNIXにTCP/IPを組み込み、世界をインターネットでつなぐ仕事は村井教授を筆頭にWIDEプロジェクトメンバーなど日本人が率先してやってきた仕事であり、「インターネットはアメリカで発明し、日本に輸入されたもの」という意見には違和感を表明した。しかし、世界中の製品に使われているIPv6プロトコルスタック=KAMEプロジェクトの成果は世界中のエンジニアが知っていると述べ、日本が世界に貢献した例、万人が認める例を残した点は大きいとして、日本人エンジニアが今後誇れる成果であることを強調した。

 また、世界のデファクトスタンダードとなるプロトコルスタックを開発するのにあたって政治的・技術的課題を乗り越えてきたこと、世界中に品質の高いソースを配布するノウハウなど、KAMEプロジェクトの目的達成を通して得たものは大きく、それらを経験した人材が生まれたことも、日本が世界に貢献する仕事を今後するにあたって大きな糧となるだろうとして、改めて関係者への謝意を述べてスピーチを締めくくった。


関連情報

URL
  WIDE Project
  http://www.wide.ad.jp/index-j.html
  The KAME Project
  http://www.kame.net/
  KAMEプロジェクト便り
  http://www.mew.org/~kazu/kame/
  関連記事:慶應大ら、次世代インターネット経由の日米合同授業を公開
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/1999/1214/soi.htm


( 工藤ひろえ )
2006/04/28 16:23

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