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ネットショッピングの普及は成熟期に、ヤフー調査


 ヤフーは17日、日本人のネット生活に関する近未来のトレンドや変化をまとめた「ネット生活予測」を発表した。調査は2005年7月15日から19日にかけて、15歳以上の男女2,106人に対して実施した。

 集まったデータは、博報堂の分析手法「Diffusion Dynamics」を用いて分析した。この手法では、消費者を6つのクラスターに分類し「普及マップ」を作成することで、近未来のトレンドや変化を予測できるという。

 クラスターは、物知りタイプの「先行知識層」、先行知識層の価値をひっくり返す「価値転換層」、価値観のひっくり返しを、受身ではあるが積極的に受け入れる「価値増幅層」、物知りだが一貫性がなく、周囲の状況に振り回されやすい「日和見的同化層」、新情報に対して否定的・批判的な態度をとる「確信犯的固執層」、商品や情報に対する接触や利用が少ないことから、それを正当化するような根拠や態度をとる「低関与・諦念層」の6つに分けられる。

 ネットショッピングを初めて利用した年次に関する設問から、ネットショッピング普及率を見てみると、2005年以降では85%以上がネットショッピングを経験していることがわかった。

 クラスター別では、先行知識層と価値転換層で普及率が100%に近い利用経験率だったほか、価値増幅層と日和見層でも90%近くが経験していた。ヤフーは、「全体の52%を占める価値増幅層と日和見層で、これほど高い経験率があるということは、ネットショッピング全体としての普及は成熟期に入った」と分析する。なお、低関心層は約60%とやや低く、「今後はこの層に対する普及啓蒙が大切になるかもしれない」としている。


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2006年はネットショッピング第2次浸透の元年

 また、年次ごとにネットショッピングを初めて利用開始したユーザーの分布を見てみると、これまで2000年と2003~2004年の2度のブームがあったことがわかるという。

 例えば、2000年では、先行知識層と価値転換層の一部がネットショッピングを開始。両クラスターは1999年で約5%だったが、2000年には15%まで増加した。2003年~2004年には、価値増幅層、日和見層など全てのクラスターにおいて利用開始のピークを迎えた。

 2006年については、「ネットショッピングの第2次浸透の最初の年」としており、実在する店舗での販売の補完・代替だけでなく、ネットならではの買い物の楽しみ方などが期待されるとしている。

 ネットショッピング利用者の男女比についても分析。先行知識層の男女比では、女性(50.6%)が男性(49.4%)をやや上回った。この結果については「ショッピングという行為に対して女性のほうが男性より親近感が強く、実行頻度も高いから」と分析する。

 各クラスターの平均世帯年収比較では、これまでのネットショッピング市場を牽引してきた先行知識層(764万円)が最も高く、最も低かった価値転換層(696万円)と大きく差がある。


ネットショッピングの普及カーブ

「眠れるリッチ層」の掘り起こしが市場を活性化させる

 利用回数で比較すると、先行知識層は他の層を引き離して高頻度で利用しているのに対し、価値転換層ではその後に続く層とあまり変わらない利用頻度しかない。なお、一回当たりの平均購入金額は、どのクラスターでもさほど大きな違いはなかった。

 同社では「これらを総合すると、先行知識層と価値転換層での最大の差はネットショッピングの利用頻度の差であり、幅広い層にネットショッピングが普及浸透するには、価値転換層のように若くて所得の高くない層への普及浸透の『壁』を乗り越えなくてはいけない」と分析している。

 また、先行知識層と同等の高い平均収入を持っている低関心層では、1年間のネットショッピング利用回数が約60%を占めるなど頻度が極端に低い。全般的に価値転換層以降では、ネットショッピングの普及浸透度が低い層ほど、平均年収が高く、年齢も高い。そのため、「これらの『眠れるリッチ層』の市場をうまく活性化することで、ネットショッピング市場は今後も大きく拡大できる」としている。


関連情報

URL
  ニュースリリース(PDF)
  http://docs.yahoo.co.jp/info/report/data/001.pdf


( 増田 覚 )
2006/05/18 10:46

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