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EU、意匠の国際登録システム加入へ


 欧州委員会は18日、知的財産の一種である意匠(デザイン)をEU地域で保護するための共同体意匠システムを国際登録システム(ヘーグ協定の新条約であるジュネーブ条約に基づくシステム)に加入させることに、欧州議会が合意したことを歓迎する声明を出した。これにより、欧州市民は1つの出願(申請)行為で加盟国内での意匠権を取得することができるようになる。

 欧州委員会は、2004年に共同体意匠システムを国際化することを提案し、諸方面での調整を続けてきた。2年がかりでの調整の結果、国際化へまた一歩進むこととなった。共同体意匠システムは2003年4月1日から施行されており、1つの出願行為でEU地域での意匠権を取得できる。内国市場の調和の一環として実現した。本部がスペインのアリカンテに設けられている。意匠権としては、携帯電話、コンピュータのデザインなども登録でき、加盟国での需要は高い。

 ヘーグ協定は、意匠の登録・寄託に関する国際的制度を構築するものだ。出願受付や方式審査、公開、登録簿の作成・維持管理といった各国に共通な手続きを世界知的所有権機関(WIPO)の国際事務局が一元化して行なう。これにより、複数国で意匠登録を行なう際と比べて手続きの簡素化や経費の節減効果が期待されている。

 ヘーグ協定の改正条約として、寄託の国際的な集中化を図った「1934年ロンドン条約」が成立している。次に、指定締約国制度を導入し、各指定国に国際登録の効果の拒絶を認めた「1960年ヘーグ条約」が成立し、運営されている。これに加えて、拒絶通報期間を従来の6カ月に代えて審査主義国は12カ月も選択可能にするとともに、EUのような政府間機関も締約国となることができるようにし、かつ意匠の単一性等の各国の独自要件を大幅に認めた条約であるジュネーブ条約が、1999年に成立した。現時点での加盟国はシンガポール、韓国、トルコ、スイスなどを含む19カ国となっている。

 なお、ヘーグ協定およびその条約については、日本はいずれも未加盟で、意匠権を国際的に取得したい場合は、日本への出願とは別の行為が必要。日本では商標、特許については、それぞれマドリッドプロトコルおよび特許協力条約(PCT)に加盟しており、国際出願(商標の場合は登録)が可能。


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URL
  ニュースリリース(英文)
  http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/06/650...



( Gana Hiyoshi )
2006/05/22 12:11

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