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国のセキュリティ対策の一環として、次世代OS環境「セキュアVM」開発を発表


 内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)は23日、高セキュリティ機能を実現する次世代OS環境の開発が文部科学省により採択されたと発表した。同件は、内閣官房長官を議長とする情報セキュリティ政策会議で策定中の「セキュア・ジャパン2006」(案)の一項目に該当する技術開発で、NISCではこの技術開発を積極的に推進するとしている。

 開発を進める「次世代OS環境」は、WindowsやLinuxなどをゲストOSとして稼動させることのできるVM(Virtual Machine)環境をイメージし、このVM環境にセキュリティ機能を組み合わせた「セキュアVM」と呼ぶ環境の構築を目指す。セキュアVMが仮想マシン環境を提供し、WindowsなどのOSはその上で動作する。OSからはセキュアVMを経由してネットワークやファイルなどにアクセスする形となり、セキュアVMがこれらのアクセスに対してセキュリティ機能を提供するため、OSから独立した形でセキュリティ機能が実現できるとしている。

 また、セキュアVMでは統一のIDを利用したPCの起動管理や、IDを利用したハードディスクやUSBメモリ等の暗号化、VPNを利用した通信経路の暗号化などを実現し、情報漏洩等のリスクを低減するとしている。このほか、政府職員への導入が予定されている国家公務員ICカードとの連動を図るほか、IPv6などの新しい技術を導入するための基盤環境としてもセキュアVMを活用する。

 セキュアVMの開発は、文部科学省により平成18年度科学技術振興調整費の最重要解決型課題として採択された。開発は、全体の取りまとめを筑波大学が担当。システム開発は、電気通信大学、東京工業大学、慶應義塾大学、奈良先端科学技術大学院大学および豊田高専による学術研究組織と、富士通、NEC、日立製作所、NTT、NTTデータ、ソフトイーサなどの民間企業が担当する。開発にあたっては、政府機関における実運用を前提とし、実際の環境からの乖離が生じないように技術仕様を定めるとしている。

 開発は優秀な若手研究者による集中的研究方式で実施することで、我が国における基盤ソフトウェア開発環境の向上や、優れたソフトウェア開発能力を有する人材の育成を目指す。また、開発したセキュアVMについては、オープンソースとして社会全体に公開するとしている。


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URL
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.bits.go.jp/press/pdf/securevm.pdf

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国のセキュリティ対策プログラム「セキュア・ジャパン2006」案を公開(2006/04/28)


( 三柳英樹 )
2006/05/23 20:20

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