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マイクロソフトWindows本部のJay Jamison本部長
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マイクロソフトは12日、次期OS「Windows Vista」のビジネスユーザー向け機能に関する説明会を開催した。
マイクロソフトのWindows本部本部長のJay Jamison氏は、日本市場は高いブロードバンド普及率を背景にした多くのビジネスチャンスが存在する一方で、企業には個人情報保護法や日本版SOX法など社会的責任が求められるようになってきていると説明。こうした企業に求められている変化にも、Windows Vistaに搭載される新機能は貢献できるとした。
Windows本部ビジネスWindows製品部マネージャの中川哲氏は、実際のデモを交えながら企業で利用する場合のWindows Vistaのメリットについて解説した。中川氏は、Windows Vistaでは新しい視覚効果を取り入れたユーザーインターフェイス「Aero」が注目を集めがちだが、「Aeroが無くてもWindows Vistaは魅力的」だとして、Aeroの視覚効果をオフにした状態でデモを実施。ハードウェアの問題などでAeroが動作しない環境でも、Windows Vistaの新機能はオフィス環境でも有益だとした。
中川氏は生産性の向上に寄与する新機能として、Windows Vistaに搭載された検索機能を紹介。Windows Vistaでは検索用のインデックス化エンジンがバックグラウンドで常時動作するようになっており、ローカルファイルやネットワーク上のファイルに対して高速なキーワード検索が可能になると説明。検索したファイルはファイル名の一覧表示だけでなくサムネイル表示も可能で、必要としているファイルを探しだすまでの時間が大幅に短縮できるとした。
また、Windows Vistaではバックグラウンド動作するアプリケーションについて“Low-Priority I/O”と呼ばれる仕組みを導入し、ユーザーの体感速度が遅くなることを防いでいると説明。Low-Priority I/Oとは、バックグラウンドで動作するアプリケーションについてはハードディスクなどへのアクセスの優先順位を低く設定することで、ユーザー自身が操作しているアプリケーションに影響を与えないようにしているとした。このLow-Priority I/Oの仕組みは、Windows Vistaでは常時バックグラウンドで動作する設定になっているディスクデフラグや、スパイウェアの侵入を感知する「Windows Defender」でも利用されているという。
さらに、動作を高速化させる仕組みとしては、USBメモリなどのリムーバブルディスクを利用する“ReadyBoost”を紹介。ReadyBoostは、リムーバブルディスクをシステムのキャッシュなどとして利用することで、ハードディスクのキャッシュよりも高速に動作させようという仕組みだ。Windows Vistaにリムーバブルディスクを挿入すると、自動再生のメニューに「システムの高速化」という選択肢が表示され、簡単に利用可能となっている。中川氏は、「基本的にはメインメモリの増設が望ましいが、そうでない場合でも安価なUSBメモリなどで高速化が可能になる」と説明。ReadyBoostではリムーバブルディスクはシステムの高速化のためだけに利用するため、使用中にPCからリムーバブルディスクを抜いても問題なく動作するとした。
企業内の会議などで有用な新機能としては、「Windows Collaboration」(Windowsグループ作業ツール)を紹介。Windows CollaborationはLAN内の10人までのユーザーで共同作業が行なえるツールで、任意のファイルやアプリケーションを参加者で共有して編集できる環境を提供する。これにより、プレゼンテーションファイルなどを参加者間で共有し、編集しながら最新のドキュメントを作成していくといった用途に利用可能となる。
Jamison氏は、Windows Vistaのロードマップに変更はなく、企業向けには2006年11月、コンシューマ向けには2007年1月頃に提供開始の予定と説明。また、6月8日から開始したWindows Vista ベータ2日本語版一般向けダウンロード提供に続いて、Windows Vistaの新機能などを詳しく解説したドキュメント「Windows Vista Productガイド」の日本語版もまもなく公開予定だとして、企業の担当者などに対してもWindows Vista Beta 2の評価を呼び掛けた。
関連情報
■URL
Windows Vista
http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/
■関連記事
・ 「Windows Vista ベータ2」日本語版の一般向けダウンロード提供開始(2006/06/08)
( 三柳英樹 )
2006/06/12 16:27
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