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Web教材制作コンテスト「ThinkQuest@JAPAN2005」の受賞作品が決定


授賞式の会場となったを早稲田大学総合学術情報センター井深大記念ホール
 NPO法人の学校インターネット教育推進協会(JAPIAS)は24日、第8回全日本Web教材開発コンテスト「ThinkQuest@JAPAN2005」の授賞式を早稲田大学総合学術情報センター井深大記念ホールで開催した。

 ThinkQuestとは、新しい学習法・教授法となることを目的として1995年に米国でスタートした試み。中高生が2~3人でチームを組み、インターネットを駆使して教材となるWeb作品を制作、その出来栄えを競うスタイルを採っている。

 ThinkQuest@JAPANは、本家であるThinkQuestが英語で制作を行なうのに対して、日本語で制作を行なうコンテストだという違いがある。今回は、日本全国から513チーム(1,295人)の応募があり、18チームがファイナリストとして選ばれた。


最優秀賞は、星をテーマにした「planetaria」

プレゼンテーションの様子
 授賞式ではまず午前中に、ファイナリストとして選ばれた各チームがそれぞれ3分の持ち時間を使って自身の作品をプレゼンテーションした。その結果を含めて審査が行なわれ、午後に結果が発表された。中学生の部と高校生の部でそれぞれ銀賞、金賞、プラチチナ賞が数作品ずつ選ばれ、さらに最優秀賞、文部科学大臣奨励賞、総務大臣賞、経済産業大臣賞や特別賞などが与えられる。

 最優秀賞/文部科学大臣奨励賞には、神奈川大学附属高等学校の細野嵩史さん、曽根絵梨さん、有馬圭希さんのチームが制作した「planetaria(プラネタリア)」が選ばれた。プラネタリウムを題材にナレーションなどを上手に組み合わせたコンテンツだが、最終審査員からは「天文への情熱が伝わってくると同時に、デザインや制作技術の高さが見てとれる」と高い評価を受けた。

 総務大臣賞には、さぬき市立大川第一中学校の浪指翔太さんと川畑省太さんが外国での日常会話のシミュレーションを目的に制作した「英会話AILAND」が、経済産業大臣賞には、芝浦工業大学柏高等学校の荒井友香里さん、長峯毅英さん、古賀久絵さんがクルマの仕組みと環境というテーマで制作した「ちいさな駐車場」が選ばれた。また、特別賞の枠で今回初めて設けられたベストドメインネーミング賞には、「日本の伝統的な食べ物.jp」「japanesefood.jp」を付けた芝浦工業大学柏高等学校の市川めぐみさん、山岡幸さんらによる「知ってビックリ!~驚味新深~」が選ばれた。

 授賞式の最後には、審査委員長を努めた聖心女子大学の永野和男教授、JAPIASの境輝正副理事長より、「今後は受賞者が他の学校で指導するなど、より積極的な活動ができないかを考えたい」とのコメントもあった。また、ThinkQuestの意義は「教えるために自分自身が知識を得る」「自分の言いたいことを表現(プレゼンテーション)する」「協力しながらものを作る」「教える立場になる」という4つのことを通して、さまざまなことを学んでいくことにあるという。だからこそ、もっと多くの参加者が出てくることが期待されるとしている。


お互いが持っていないものを持ち寄って1つの作品に

最優秀賞を受賞した「planetaria」
 授賞式終了後、planetariaで最優秀賞を受賞した神奈川大学附属高等学校のチームに話をうかがった。

 細野さんら3人がこのチームを作ったきっかけは、高校2年の時に授業で校内のマナーをテーマにショートCMを作ったことだったという。当初は世界で起こっている紛争などを扱う地理的な内容にしようという提案があったそうだが、それが天体をテーマにするようになったのは、動画などを使いたかったからだ。また、もともとは授業の一環で行なうWeb制作だったが、「これならいけるかなと思った」(細野さん)としてThinkQuest@JAPANに応募したという。

 しかし、制作自体は必ずしもスムーズにはいかなかったようだ。応募したのが締め切りの2週間前だったが、冬休み前のテストなどもあり、すぐには手を着けられない。さらに3人の考えがぶつかることも頻繁で、「分裂しちゃうかも」と思ったことも一度や二度ではなかったそうだ。

 Webデザインやプログラムなどを担当した細野さんによると、プラネタリウムソフト「Stellarium」を使った理由は、「星をテーマに使えるものはないかと、Googleを使って“プラネタリウム ソフト”で検索したら見つかったから」。また、単純に画像を作るとファイルサイズが50MBを超えてしまうため、5MB程度まで削る工夫を重ねたり、スクリーンショットを一定間隔で保存するために簡単なプログラムを自分で書いたりしたという。画像が出来た後はFlashを使って制作を続けた。

 一方、学習ページについては有馬さんが担当。「素人だった自分が理解するという中で作った」ことが、良い結果に結び付いた。学習ページとプログラムの制作は分業だったが、「お互いの作品に対するこだわりが尊重された」「制作を通して、相手や自分のいいところとか悪いところを見るようになった」という。その結果、お互いが持っていないものを持ち寄って1つの作品を作り上げ、1人の能力の限界を超えるために必要なことが自然にできたことは財産になったという。


関連情報

URL
  ThinkQuest@JAPAN
  http://thinkquest.jp/
  ThinkQuest@JAPAN2005受賞作品ライブラリ
  http://thinkquest.jp/library/tqj2005win.html

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( 遠山 孝 )
2006/06/27 19:47

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