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スパイウェアやアドウェアの感染報告が急増、トレンドマイクロ上半期調査


2006年上半期におけるウイルス感染被害報告
 トレンドマイクロは5日、日本国内における2006年上半期(1月1日~6月30日)のウイルス感染被害状況をまとめた。それによると、被害報告数は42,741件で、昨年上半期の16,197件から大幅に増加し、昨年下半期の29,011件と比べても増加傾向にあることがわかった。

 感染被害数が急増した背景としては、2006年上半期で最も被害件数が多かった「SPYW_GATOR」に代表されるように、スパイウェアやアドウェアの報告が継続していることが挙げられるという。かつては主流だったメールやネットワークを経路とするワーム型の報告は、ボットを除いて減少しつつある。

 その一方で、ユーザーの個人情報を狙ったスパイウェアや、インターネット上で詐欺を行なう不正プログラムは、金銭を目的とした悪質なものになり、攻撃手法も多様化。特に日本では、詐欺サイト上に仕込まれたボタンをクリックするだけで脅迫のメッセージを表示したり、メールアドレスなどの情報を盗む“ワンクリックウェア”によるワンクリック詐欺が横行しているという。また海外では、PC内のデータを勝手に暗号化して、元に戻すための身代金を要求するランサムウェアと呼ばれる不正プログラムの被害も報告されている。

 ウイルスの傾向としては、P2Pファイル共有ソフト「Winny」や「Share」を悪用するウイルスによる情報漏洩が続出したことを挙げている。また、WordやExcelなどメジャーなアプリケーションを標的として、セキュリティパッチが公開される前の脆弱性を攻撃する「ゼロデイアタック」が相次いだことも指摘。そのほか、ボット系不正プログラムによる被害が継続したこと、冬季オリンピックやFIFAワールドカップなどイベント便乗型ウイルスが登場する傾向も見られたという。

 被害件数のランキングの1位は、ポップアップ広告の表示などを行なうスパイウェア「SPYW_GATOR」の1,718件で圧倒的に多かった。以下は、ボット系ウイルスの亜種をまとめた「WORM_RBOT」の480件、アドウェアの「ADW_WEBSEARCH」の473件と続いた。

 なおトレンドマイクロでは、2006年6月度の「ウイルス被害感染レポート」も発表した。日本国内のウイルス感染被害の総報告数は7,602件で、5月の7,326件から増加。スパイウェアやアドウェアが報告の大半を占める傾向は変わっていない。

 被害件数のランキングでは、「SPYW_GATOR」の220件が先月に続いて1位。以下は、「Microsoft VMの問題により、システムが侵害される(MS03-011)」脆弱性を利用するウイルス「JAVA_BYTEVER」の156件、「WORM_RBOT」の112件と続いた。

 新種ウイルスとしては、9位にランクインした「ADW_WINFIXER.Y」が登場。これは、Windowsのエラーを修正するアドウェア「Winfixer 2005」というツールを名乗り、PCにインストールされる。このアドウェアは、無料でPCをスキャンするが、ウイルスに感染していないにもかかわらず、偽の警告を発する。そしてウイルスを駆除するには、製品版の購入が必要だとユーザーに促すようになっている。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.trendmicro.com/jp/security/report/report/archive/2006/mvr060705.htm

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( 増田 覚 )
2006/07/05 13:05

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