中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は19日、中国のインターネット普及状況をまとめた「第18次中国互換網発展状況統計報告」を発表した。
● 中国のネット人口は1億2,300万人。ダイヤルアップからADSLへの乗り換え組も
2006年6月末時点のインターネットユーザー数は1億2,300万人(誤差5%以内)で、半年前に行なった前回調査より1,200万人増加した。
利用している回線種別(重複あり)は、ブロードバンドが7,700万人と半年前の前回調査に比べ1,270万人の大幅増を示した一方で、アナログモデムは4,750万と350万人の減少となった。アナログモデムユーザーの減少は調査以来初となり、いよいよインターネット利用はブロードバンドが主流となってきたことが伺える。専用線に関しても50万人減の2,860万人となっており、こちらも調査以来初の減少となった。
インターネットに接続しているPCは5,450万台で、前回調査から500万台増加した。内訳は、アナログモデム接続が50万台減の2,010万台、専用線接続が25万台減の625万台だったのに対し、ブロードバンドが575万台増の2,815万台となった。ダイヤルアップ接続からADSLなどブロードバンド接続に移行していることが接続環境からも伺える。
● 農村部と都市部の普及に格差
上述した数字からもわかるように、中国はすでに世界でもトップクラスとなるインターネット人口を抱え、さらにユーザーは増え続けている。しかし、全人口から見ると、日本や米国韓国が3人に2人はインターネットユーザーであるのに対し、中国は10人に1人にも満たない(9.4%)のが現状だ。
とくに、全人口の半数以上が居住すると言われる農村部での利用率が3%と、都市部の18.0%に比べて非常に低い。また、地域別でも沿岸部と内陸部で大きな差があり、沿岸部である東部の利用率(14.0%)と比べると中部(6.5%)、西部(6.9%)は依然として低い水準に止まっている。
今回の調査では、学生のインターネット利用者数を調査している。高校生の利用者数は1842.3万人で、全高校生数3,600万人の半数以上(50.9%)が利用している。中学生は1092.7万人(全中学生数の17.6%)、小学生は252.9万人(全小学生数の2.3%)が利用している。
都市部農村部別では、都市部では713.4万人の中学生と207.7万人の小学生がインターネットを利用しているのに対し、農村部では379.3万人の中学生と45.2万人の小学生がインターネットを利用しており、ここでも地域別の格差があることが見えてくる。
蛇足となるが、現在の中国では、貧しい家庭では中学や高校に通わせることが難しく、中学生高校生は生活費に困っている家庭の子供ではないということを念頭にこの数字を読むとよいだろう。
● 増加する若年層、頭打ちの老年層
インターネットユーザーの性別では男性が7,232万人(58.8%)、女性が5,068万人(41.2%)で、男女比は2001年12月以降ほぼ6対4で変わっていない。年代別では18歳~24歳までの年齢層(38.9%)が突出して多く、35歳までの利用者は全体の82.3%と8割以上を占める。
35歳までの比率が調査を重ねるごとに大きくなっているが、これは35歳までの利用者(1億123万人)の増加率(前回比20.9%)が35歳以上(2,177万人)の増加率(同13.0%)よりも高いためである。また51歳以上の利用者(51~60歳および61歳以上)は減少した。
職業別では学生(36.2%)が最も多く、続いて会社員(28.9%)となった。学歴別のインターネット利用率はいずれも増加、高卒(25.8%)が4人に1人が利用するまでになったほか、大卒以上(91.5%)が初めて9割を越したことが目立った。
家庭でインターネットを利用する人の1カ月の収入(学生の小遣いを含む)は、500元(約7,500円)以下が26.9%を占め、収入がない人も7.4%あった。月収が2,000元(約3万円)以下の人は全体の78.0%に上り、前回比では16.3%増となった。一方で、月収が2,000元(約3万円)を超える人が全体の22.0%に達し、前回比では32.0%の大幅増となった。インターネットユーザーが1カ月にインターネットにかける費用(無料インターネットを除く)の平均は前回調査とほぼ同じ102.0元(約1,500円)だった。
インターネットを利用する場所(複数回答)については、「家」(72.2%)が最も多く、続いて「職場」(35.1%)、「インターネットカフェ」(29.5%)、「学校」(18.9%)の順となった。調査を重ねるたびに家とインターネットカフェでの利用率が増加し、職場での利用率が減少している。5年前の2001年6月の調査時は、家での利用が61.0%、職場での利用が45.1%であった。
1週間のインターネット利用時間は年々増加しており、今回の調査では前回調査より0.6時間長い平均16.5時間となった。
● ブログ、中国で急速に浸透
インターネットの利用目的(複数回答)で最も多かったのが「ニュース」と「情報検索」(ともに66.3%)、次に「メール」(64.2%)で、この3つが飛びぬけて多い。
4位以下は「BBS」(43.2%)、「チャット(インスタントメッセンジャー)」(42.7%)、「情報の取得」(39.5%)、「映像の視聴とダウンロード」(37.3%)、「音楽の視聴とダウンロード」(35.1%)、「ファイルのアップロード・ダウンロード」(33.9%)、「オンラインゲーム」(31.8%)が続く。「ブログ」(23.7%)は前回調査時に比べ10ポイント近く増加した。
またネットユーザーの情報源(複数回答)は、インターネット(82.6%)が最も多く、続いてテレビ(64.5%)、新聞(57.9%)となった。
1日の中で最もインターネットが利用されるピーク時間は20時から21時となっており、6割以上のインターネットユーザーがこの時間に利用している。それ以外の時間帯では日中では3~4割、深夜は1割以下となっている。
● ドメイン数堅調に増加
CNドメイン名の登録数は前年同期比で56万件以上増加し119万6,017件に達した。内訳は「.cn」が66万6,680件、「.com.cn」が38万9,895件など。「.cn」「.com.cn」がここ数年で激増し、中国のほとんどのドメインが「.cn」「.com.cn」のどちらかという状況だ。
中国のWebサイトの総数は前回調査時より10万弱増加し(増加率16.4%)、約78万8,400サイト。「.cn」ドメイン下のWebサイト数は全体の43.4%の34万2,419サイト、「.com.cn」のそれは全体の44.7%の35万2,301サイトとなった。
中国大陸のIPv4のアドレス数は前年同期比24.1%増の8,478万6688(クラスAが5個、クラスBが13個、クラスCが190個)。地域別では北京市、広東省が突出して多く、第2グループとして江蘇省、浙江省、上海市、山東省が多い。
海外バックボーンの総容量は前回調査より57%増の214,175Mbps。以前の調査報告には日本とも繋がっていると記述されているが、日本のWebサイトへの接続レスポンスは依然として遅い。
関連情報
■URL
ニュースリリース(中文)
http://www.cnnic.com.cn/html/Dir/2006/07/19/3994.htm
第18次中国互換網発展状況統計報告(中文、PDF)
http://www.cnnic.com.cn/uploadfiles/pdf/2006/7/19/103651.pdf
「中国インターネット発展状況統計報告」を読む(前編)
http://internet.watch.impress.co.jp/static/others/travel/050223/index.htm
「中国インターネット発展状況統計報告」を読む(後編)
http://internet.watch.impress.co.jp/static/others/travel/050224/index.htm
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・ 中国のネット人口が1億人を突破、ブロードバンドが過半数に(2005/07/27)
( 山谷剛史 )
2006/07/21 14:21
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