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アッカ中間決算、ADSL加入者減少抑制策やMVNOを通じたWiMAX連合体構想も


アッカの坂田社長
 アッカ・ネットワークスは10日、2006年12月期中間期(2006年1月~6月)の決算を発表した。同日開催した発表会では、実証実験中のWiMAXやイー・アクセスによる同社株式取得に関する説明も行なわれた。

 中間期における連結経営成績は、売上高が198億1,300万円、営業利益が10億5,700万円、経常利益が10億5,400万円で、中間純利益は2億2,700万円。同社では7月28日に業績予想の下方修正発表を行なっており、いずれも発表数値と同程度となっている。

 2006年通期予想も合わせて下方修正されており、売上高は当初予想420億円から390億円(マイナス7.1%)、経常利益は32億円から16億円(マイナス50%)、純利益は35億円から7億円(マイナス80%)と修正された。なお、期末配当については当初の5,000円から変更はなく、期末予想利益の7億円とその他資本余剰金の約2億円を配当原資にするという。

 「下方修正を行なったことで、投資家や株主の方にご心配と失望感を与えてしまった」と冒頭発言したアッカの坂田好男代表取締役社長は、下方修正を踏まえた今後の対策を中心に説明を行なった。


中間決算概況(連結) 2006年通期の業績予想(連結)

DSLサービス加入者は減少傾向が続く。中低速サービスなどで抑制を図る

湯崎副社長

個人向けサービスにおける対策
 売上高の減少幅30億円の内訳は、「M2M事業を含めたソリューション事業の遅れ」が約18億円、「個人向けADSLサービスの純減」が約8億円で、「個人向け光サービスの未達」が約3億円。坂田社長はこれらへの対応を行なうとともに、「以前から行なっている継続的なコスト削減による利益確保を課題としたい」と語った。

 個人向けサービスの加入者数は6月末時点で116万件と、第1四半期から4.6万件減少。この数値にはADSLサービスに加え、UCOMとの提携によるFTTHサービス「ACCA光(UCOM)」の加入者数も含まれているが、湯崎英彦代表取締役副社長によれば「立ち上げが遅れており、ACCA光(UCOM)の加入者は数百件に止まっている状況」だという。ただし、「秋以降になれば、加入者数は大きくなると考えている」と付け加えた。

 同社では、ADSLサービス市場全体で見ても強い伸びはないと考えており、純減抑制策を進めていく。具体的には低~中速のADSL新サービスの投入に加え、50Mbpsなど高速サービスを提供していない地方DSL事業者向けのホールセール、ダイヤルアップユーザーに対するアプローチ強化を行なっていくという。また、FTTHサービスでは販売体制の再構築を行ない、外部委託のよるマンションへの販売強化といった施策を実施するとした。

 M2Mおよびソリューション事業に関しては、営業プロセスとプロダクト面の双方で対策を行ない、間接営業の強化や協業先の開拓、顧客ニーズに応じた基本サービスの整備を進める。また、コスト削減への取り組みでは、販売促進費用効率化の推進、設備投資額の削減を図っているという。加えて、組織統合などによる要員数削減、カスタマーサービス部門の業務効率化に伴う人材派遣費の削減を実施し、2005年実績で727名だった要員数を2006年には613名へと削減した。

 なお、企業向けサービスの加入者数は4万6,200件で、第1四半期で1,400件増加。坂田社長は「個人向けサービスの加入者数は減少傾向にあるが、企業向けでバックアップ回線などの用途で提供していくことで、ADSL回線としての契約数を増加させていきたい」と語った。


モバイルWiMAXではパートナー企業との緩やかな連合体を

チャネル拡大に向けたサービスのモジュール化を進める
 今後の事業展開として坂田社長は「当社の事業基盤である個人・企業・M2Mサービスに加え、ソリューション支援型ビジネスで顧客とチャネルの拡大を図っていく」と語る。「現在準備を進めている、バックアップ回線としてADSLを提供するメニューを通じて、顧客にISDN回線からの置き換えを提案していく」と述べた。

 また、従来はホールセールが中心だったパートナー企業との協業体制も、「パートナーのニーズに合わせてエンドユーザーにサービスを提供できるような仕組みも用意していく」とコメント。同社では会員制サービスを提供する企業と案件を進めているといい、坂田社長は「サービスのモジュール化を行なうことで、これまでとは違ったものが提供できる」とした。

 7月に実験用無線局免許を取得したIEEE 802.116e(モバイルWiMAX)については、「DSLやFTTHと組み合わせ、FMCへの展開も視野に総合的なサービスを展開してきたい」という。「競争相手が多いWiMAXだが」と前置きした坂田社長は、「当社が事業参入できた際には、個人・企業向けデータ通信市場の拡大やデジタルデバイドエリアへの提供」と例を挙げる。

 さらに「低コスト構造を実現することで、今までリーチできなかったロングテールのテール部分にもサービスの提供が可能になる」と述べる。その上で「MVNOを通じたパートナー企業との緩やかなWiMAX連合体を形成していきたい」と抱負を語った。

 なお、WiMAXの実証実験は現在基本特性の確認を行なっており、音声や映像、3GやWiFiとのシームレス接続といったアプリケーション実験は2006年9月から12月にかけて行なうとしている。


MVNOを通じたWiMAX連合体を目指す WiMAXの実験状況。1番右にある写真がWiMAXの基地局

イー・アクセスによる株式取得。「他社から提案があった際には適時検討していく」

 発表会ではまた、イー・アクセスがアッカの発行済み株式を10.3%を取得した件に関する説明もあった。

 「純投資だと聞いている」と語る坂田社長は、「当社も上場企業であるので、イー・アクセスを含め他社から話がきた場合には内容を検討して、企業価値、株主価値が向上するようであれば前向きに考えていく」とコメント。また、湯崎社長は「我々からイー・アクセスに協力体制を提案することは現時点で特に考えていない」と説明した。


関連情報

URL
  アッカ・ネットワークス IR情報ページ
  http://www.acca.ne.jp/ir/index.html

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( 村松健至 )
2006/08/10 20:01

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