大手ショッピングサイトの米Buy.comと動画共有サイトの米Grouper Networksは29日、動画によるカスタマーレビューをBuy.comに掲載することで提携したと発表した。
この提携によって、これまでテキストや画像に限られていたショッピングサイトのカスタマーレビューに動画が加わることになる。詳細な情報を消費者が得られるということにとどまらず、ビジネスモデルを模索している動画共有サイトにとっても有望な市場となる可能性がある。
今回の提携では、Buy.comで販売されている商品について、誰でも動画によるカスタマーレビューを作成・投稿ができるようになった。これにはGrouperのVideo Partnership Programが採用された。
Grouperの1つの特徴は、動画を簡単に編集してアップロードできることだ。そのうち最も簡単な機能として、「WebCam Capture」機能が最近提供され始めた。これを使えばビデオカメラなどを接続する手間もなく、すでにPCにつながっているWebカメラを使用して簡単に動画を撮影し、そのままBuy.comに投稿できる。一方、Buy.comの訪問者はサイトに埋め込まれた動画を簡単に見ることができる。
Buy.comに動画によるカスタマーレビューを投稿するユーザーは、まずBuy.comとGrouperが共同で設置したページでユーザー登録を行なう。このページからBuy.comに投稿した動画は同時にGrouper.comにも掲載され、該当するBuy.comの製品ページへリンクが張られる。
Buy.comは一時期、Amazon.comの有力な対抗馬と見なされていた時期もある総合ショッピングサイトで、コンピュータ、家電、書籍、CD、DVD、スポーツ用品、玩具などを幅広く販売している。
Grouper Networksの共同創業者兼CEOであるJosh Felser氏は「この提携は非常に重要だ。なぜならユーザーによって生成された動画がビジネスの文脈の中で使用される初めてのことであり、そこら中の買い物客がBuy.comで提供される商品について、よりダイナミックな対話ができるようにするからだ」とコメントしている。
YouTubeに代表されるような動画共有サイトは娯楽として爆発的な人気を勝ち得ており、多くのベンチャーキャピタルが資金を投入している。しかしその一方で利益を上られるような適切なビジネスモデルを見出せずにいる。最近YouTubeは企業ブランドのチャンネルを立ち上げられるようにするなど、利益を上げるための新戦略を発表して話題を呼んでいる。
今回Buy.comと提携を発表したGrouper Networksは23日に米Sony Pictures Entertainmentに約6,500万ドルで買収され、その買収金額の高さに注目が集まった。Grouper NetworksのCEOが述べるように、今回の提携は動画共有サイトがビジネスで利用される初めてと言ってもよい事例だけに、今後、他の動画共有サイトや大手ショッピングサイトが追随するかどうかに注目が集まりそうだ。
関連情報
■URL
Grouper Networks(英文)
http://www.grouper.com/
Buy.com(英文)
http://www.buy.com/
■関連記事
・ 米Sony Pictures、動画共有サイト「Grouper」を6,500万ドルで買収(2006/08/24)
・ YouTubeに広告チャンネル、CDデビューしたパリス・ヒルトンの動画を公開(2006/08/23)
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2006/08/30 12:35
- ページの先頭へ-
|