米スタンフォード大学医学部の研究者らが、最近の研究としては初めてとなる全米を対象とした本格的なインターネット中毒に関する調査を行ない、その結果が近く論文で発表される。
研究を行なったのは、精神医学と行動科学の臨床助教授であるElias Aboujaoude氏を代表とするチーム。論文は「CNS Spectrums:The International Journal of Neuropsychiatric Medicine」誌10月号に掲載される予定だ。
インターネット中毒というと、ポルノ中毒と受け取る人がいるかもしれないが、Aboujaoude氏はポルノサイトの閲覧は問題の一部に過ぎず、一般にはショッピングサイト、チャットルーム、趣味のサイトも利用していることを指摘している。従ってこの問題はより広範なインターネットの利用に当てはまることに注意する必要がある。
調査では、米国人の8人に1人がインターネットの使用方法に関して問題を抱えている可能性があるとことが判明した。しかし、インターネット中毒、あるいはインターネットの問題ある使用法に関する研究はまだ始まったばかりで、それが実際に医学的な問題であるのかどうかは今後の研究を待たなければならない。
この調査は全米の世帯からランダムに抽出した2,513人の成人に対して電話で行なわれた。その結果として、68.9%は問題のないインターネット利用者であることがわかり、この数字は先行する調査結果とも矛盾していない。
その一方で、問題のあるインターネット利用者はさまざまな質問に対する回答で現われた。13.7%(8人に1人以上)は「数日間インターネットから離れ続けることを難しく感じる」と回答。また、12.4%は「意図していたよりも長くインターネットを利用し続けたことが度々あるいは頻繁にある」、12.3%は「過去にインターネット利用時間を削減する必要性を感じたことがある」と回答した。
このほかにも、8.7%は「必ずしも必要でないインターネットの利用を家族、友人、従業員に対して制限しようとしたことがある」、8.2%は「問題から逃げるためにあるいは消極的な感情を和らげるためにインターネットを利用したことがある」、5.9%は「インターネットの過剰な利用の結果として人間関係に害を生じたと感じたことがある」と回答した。
Aboujaoude氏は「我々はこれが診断基準だとは言っていない。我々はもっと多くを学ぶ必要がある。しかしながら、この調査は臨床的に重要な何かを特定するために必要な第一歩だ」とコメントしている。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://mednews.stanford.edu/releases/2006/october/internet.html
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・ 精神科医が「インターネット中毒」のガイドラインを考案(2003/08/11)
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2006/10/18 11:59
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