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日立と東大、関連語がビジュアル化される百科辞典検索システムを開発


知のコンシェルジェ
 日立システムアンドサービスは、百科辞典の知識体系をビジュアル表示して検索できるシステム「知のコンシェルジェ」を開発した。百科辞典検索サービス「ネットで百科 for ブロードバンド」において、11月より試験提供を開始する。利用するには、「ネットで百科」のユーザー登録(月額1,575円~)が必要。

 知のコンシェルジェは、ひとつの検索キーワードから関連する事柄を連鎖的に表示し、検索できるシステム。百科辞典(世界大百科事典・マイペディア)と世界・日本地図を備えており、65,000項目と20万の関連情報が参照できる。これにより、調べたいキーワードが曖昧な場合でも、わかる単語を入力することで、周辺情報から目的の情報に辿り着ける。

 例えば、「富士山の近くで有名な滝」が知りたいとき、「富士山」と入力すれば、「富士五湖」「青木が原」「関東ローム」「白糸の滝」などが関連情報として表示される。次に「白糸の滝」を選択すると、百科辞典と地図の情報を参照できる仕組み。さらにここで、「富士五湖」を選択すると該当する情報が枝分かれし、富士五湖それぞれの名称などが表示される。

 日立システムアンドサービス コンテンツビジネス本部の藤井泰文本部長は、「情報過多の世の中で、インターネット検索を使いこなすことが重要になると考えるが、検索能力から得られる情報を活かすためには、有益な情報に“気づく力”が必要になるだろう。知のコンシェルジェによって、気づく力の発達を促していきたい」と開発動機を語った。今後は、用語辞典を50万項目まで追加する予定という。


日立システムアンドサービスの藤井氏 デモ画面。「織田信長の弟」を知るため、まず「織田」と入力 トピック11件がヒットし、その中から「織田有楽斎」を選択する

織田有楽斎の概要画面。関連情報を得たい場合は、「ビジュアル表示」をクリックする ビジュアル表示画面。関連情報として「織田信長」「千利休」「有楽町」などが表示される さらに「千利休」を選択すると、ワードが枝分かれし、関連情報が次々に飛び出して表示される

 また日立システムアンドサービスでは、知のコンシェルジェは百科辞典だけでなく、コンテンツサービス分野や、大学・教育機関における研究などのほか、一般企業のナレッジマネージメント分野へも応用可能としている。2007年度からは、東京大学大学院情報学環の「新しい百科全書」プロジェクトの一環として、学際情報学府の講義などで利用される。

 東京大学大学院情報学環の吉見俊哉学環長は、「若い人たちは、ある情報に到達したり、情報を集めてくることは非常に早くできるが、情報に到達するまでの方法を編み出す力が弱体化している。知のコンシェルジェは、情報に到達する方法を生み出せるような技術として開発した」とコメント。また情報学環教授の石田英敬氏は「インターネットの検索と違い人の手で関連付けをしているため“知”が保障されている」と述べた。


「知のコンシェルジェで“人間の復権”を目指す。人間の知識や勘とデジタルのコラボレートを試みる」と語る吉見氏 「知のコンシェルジェは、今学期から学際の講義で活用しているほか、来年度から学科の初心者向けにも活用する」と語る石田氏

関連情報

URL
  知のコンシェルジェ
  http://ds.hbi.ne.jp/concierge/
  ネットで百科 for ブロードバンド
  http://ds.hbi.ne.jp/netencytop/forbbinfo.html
  新しい百科全書
  http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/research/projects/yoshimi03.html
  関連記事:日立デジタル平凡社、CD-ROM事典と連動したWebサイト
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/1999/0514/hyakka.htm
  関連記事:日立システムアンドサービス、動画を利用した百科事典の検索サービス[Broadband Watch]
  http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/04/24/hitachi.htm


( 野津 誠 )
2006/10/30 19:33

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