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NRIの村上理事長
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野村総合研究所(NRI)は17日、動画コンテンツにおける現状の問題点や今後のあり方について記者説明会を行なった。情報学博士でもあるNRIの村上輝康理事長は、価値ある動画コンテンツを制作・配信する「融合放送」を提案した。
村上氏はまず、「知識情報サービスを提供している者として、動画コンテンツで起こり始めたロングテール現象に強い危機感を覚える」と述べた。動画コンテンツにおけるロングテールとして「YouTube」を挙げ、「ユビキタスネットワークでの動画コンテンツは、今後の少子高齢化や医療問題に対応できる社会的信頼性の高い分野であってほしいが、YouTubeに違法な動画が増えることで、動画コンテンツに対するユーザーの認識が変わってきてしまう」とした。
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ICTパラダイムの進化
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動画コンテンツのロングテールとロフティヘッド
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伸び続けるロングテールに拮抗するものとして村上氏は“ロフティヘッド”(そびえ立つ頭)が必要でると説明。ロフティヘッドを実現する考えとして「融合放送」の可能性を挙げた。融合放送とは、「放送的に制作・編成されたコンテンツが、通信で配信されるもの」だという。いわば、テレビでしていることを、そのままインターネットに持ってきた形だ。
融合放送を実現するための主な要因は、1)放送免許を持つこと、2)自主制作であること、3)配信側がタイムテーブルを組むこと、4)放送規律を守ること、5)通常の動画再生ソフトで視聴でき、DRMを使うこと、6)オープンかつコミュニティ性のあるネットワークで配信すること、7)広告収入であること。
「インターネット上でも放送規律を守る会社に対しては、放送免許を付与することができる。これにより、信頼性と中心性(メジャー)を得られる。また、オープンコミュニティはNGN(次世代ネットワーク)の実現を見据えたもの。さらに、タイムテーブルを組むことで、広告モデルにも時間的価値が生まれる」という。
最後に村上氏は、「これまでは、ITによるQOL(クオリティオブライフ=個人の生活の質)を追求してきたが、これからは同時にQOS(クオリティオブソサイティ=社会の質)という考え方が重要。融合放送は、QOSの保持や向上に有効な動画コンテンツが提供できる。融合放送は、できたばかりの概念だが、将来確実に実現する」と語った。
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動画コンテンツに求められる価値
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従来の動画配信例と融合放送の比較
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関連情報
■URL
野村総合研究所
http://www.nri.co.jp/
( 野津 誠 )
2006/11/17 19:00
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