米カーネギーメロン大学のコンピュータサイエンス研究者のグループが、インターネットオークション詐欺を発見する方法を見出し、ソフトウェアとして実装して実験していることが5日、明らかになった。
これは同大学のChristos Faloutsos教授の研究チームが開発した「NetProbe」と呼ばれるソフト。ここで使用されている技術を使えば、将来的に警察やオークションサイトのセキュリティ部門担当者にとって有用な道具となる可能性がある。
NetProbeは、オークション詐欺集団の共犯者を見つけ出すことによって詐欺取引を発見する。なぜなら、1人でオークション詐欺を実行しようとして評価を操作すればすぐにアカウントが削除されるが、共犯者を使って善良な出品者に見せかける手法は最も長続きし、被害額が増えるからだ。共犯者は直接は詐欺を実行しないため見つかりにくく、それでいて詐欺師の評価を上げる役割を果たすやっかいな存在だ。
しかし、今回の研究によって共犯者の存在を見つけ出す方法が判明した。それは取引をグラフに描いてみるとわかるという。ユーザーを点に、そして取引関係があったユーザー同士を線で結ぶと、詐欺師と共犯者の関係が浮かび上がってくる。これはグラフ理論研究者たちが「二部コアグラフ」と呼んでいるパターンだ。1つのグループのメンバーが別のグループのメンバーとはたくさんの取引があるのに対して、自分のグループのメンバーとは取引関係がないことを示す。そしてどちらかのグループは善良なユーザーとの間とも取引関係があるが、詐欺グループとの間にだけ極端に取引量が多いという特徴を示す。
この考え方をソフトウェアとして実装したのがNetProbeである。米eBayの6万6,000件の過去の取引に対して試してみたところ、実際に行なわれた10件のオークション詐欺を発見しただけでなく、十数人の詐欺師とその数倍の共犯者たちを突き止めることに成功したという。
共犯者を発見することで詐欺集団を見つけ出すこの手法は、すべてのオークション詐欺に通用するわけではない。しかし、詐欺師たちがより複雑な共犯のスキームを考えなければならなくなることに意義がある。Faloutsos教授は「これらのスキームはより多くの努力とコストを必要とするので、詐欺による利益はどんどん少なくなっていくだろう」と指摘し、今回の手法でも詐欺師を減らす効果があると説明している。
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■URL
ニュースリリース(英文)
http://news.cs.cmu.edu/Releases/demo/257.html
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2006/12/06 12:08
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