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「瞬簡PDF ZERO」のショートカットアイコンに、ファイルをドラッグ&ドロップすることでPDFへの出力などが可能
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クセロは7日、無料のPDF作成・加工ソフト「瞬簡PDF ZERO」を18日よりダウンロード配布すると発表した。これまで2,940円で販売していた「瞬簡PDF」を、機能はそのままで無償化する。Windows XP/2000に対応するほか、Windows Vistaへの対応も予定している。
瞬簡PDFは、プリンタドライバ形式で動作する「瞬簡PDF・ドライバ」、PDFへの一括出力ツール「瞬簡出力」、PDFファイルの加工ツール「瞬簡ツール」の3つのコンポーネントで構成されている。
「瞬簡PDF・ドライバ」では、各アプリケーションの印刷画面から「瞬簡PDF」を選択することでPDFへ出力できる。フォントの埋め込み、暗号化やパスワード、印刷や文書の変更の禁止などのセキュリティ設定も可能だ。
「瞬簡出力」では、WordやExcelなどのファイルをドラッグ&ドロップや右クリックメニューからの選択することで、PDFへの一括変換が行なえる。「瞬簡ツール」では、PDFファイルの統合・分割、ページ抽出、セキュリティの一括設定・一括解除などが行なえる。
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出力設定では、セキュリティの設定が可能
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PDFへの一括出力ツール「瞬簡出力」の画面
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クセロではこれまで、「瞬簡PDF・ドライバ」の生成機能については無料ソフト「クセロPDF」として提供。これに「瞬簡出力」と「瞬簡ツール」を追加した上位版を、「瞬簡PDF」として販売していた。今回、「瞬簡PDF ZERO」として無償化するのに伴い、広告モデルを導入する。
具体的には、「瞬簡PDF・ドライバ」経由でのPDF出力時、5回に1回の割合でWebブラウザで広告を表示するほか、「瞬簡出力」および「瞬簡ツール」の起動時にも、同様に広告を表示する。従って、インターネットに接続した環境でなければ利用できないことになる。
クセロの森真一代表取締役によれば、無料で配布している「クセロPDF」が2年間で200万ダウンロードを超え、現在では1日に2,000人以上のユーザー登録があるという。「ソフトを売るのはたいへんだが、フリー化で別の側面からビジネスになるのではないか」として、PC用のPDFソフトにおいては無償化と広告モデルへ転換する背景を説明した。なお、「瞬簡PDF ZERO」では、JWordプラグインもあわせてインストールされる(インストールしないように選択することも可能)。
「瞬簡PDF ZERO」は、1年間で300万ダウンロードが目標。広告は、12月18日のダウロード開始時点では自社広告のみだが、今後、同社製品のOEM先企業などの広告にも拡大。年間2~3億円の広告売上を見込んでいる。
森取締役は、「一般の人が日常的に使う機能は『瞬簡PDF』に集約されている。Adobe Reader 8と組み合わせれば、90%以上の人はデスクトップレベルで仕事ができる」としている。
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クセロの森真一代表取締役
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他社ソフトとの機能の有無の比較
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● Webサイト上でPDFに変換・保管するASPの構想も
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ASPによるPDF変換サービスの構想「Ketchup」
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森取締役は、もう1つのビジネスモデルとして、PDF変換機能をASPで提供する構想も明らかにした。これは、ユーザーがポータルサイト上などでファイルをアップロードすると、それがPDFに変換されてサーバー上に保存あるいは指定したメールアドレス宛に送られてくるというもの。ISPがこのASPを導入することで、自社会員に対して無料でPDF変換機能を提供するようなスタイルを想定しているという。PDF変換の基本機能に加えて、オプション機能としてOCRや翻訳、タイムスタンプを有料で提供することも考えられるという。
このようにサーバー側でPDF変換機能を提供する製品は、すでにクセロでもイントラネット向けに展開しているが、数千クライアント規模で安定して出力できるようにならなければ、ASPモデルには展開できない模様だ。ASPサービスの具体的な開始時期は今のところ未定だ。
関連情報
■URL
「瞬簡PDF」製品概要
http://xelo.jp/xelopdf/s_pdf/index.html
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( 永沢 茂 )
2006/12/07 19:52
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