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ガートナージャパン IT Demandリサーチ 志賀嘉津士氏
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シマンテックは18日、ガートナージャパンの調査「企業におけるメッセージングツールの利用実態」に関する記者説明会を開催した。
ガートナージャパンからは、IT Demandリサーチを担当する志賀嘉津士氏が出席し、調査結果の説明を行なった。この調査は通常年間4回実施しており、今回発表するのは2006年10~11月にWebアンケート方式によりパネル会員を対象として実施した調査結果で、有効回答は570人。パネル会員は2,000名おり、40代が42%、30代32%と現場の意思決定を行なう層が中心となっている。また、職種は、新しいサービスなどを積極的に取り入れていることが多い、企画・マーケティング、研究開発などに携わるナレッジワーカー(ホワイトカラー)をおもな対象としている。
志賀氏はまず、電子メールを中心とした企業におけるメッセージングツールの利用実態について報告。15年前には存在しなかった電子メールが、ビジネスコミュニケーションのうち77%を占め、革命的ともいえるコミュニケーションスタイルの変化をもたらしたと述べた。
1人あたりの電子メール受信数は、とくに社外からの受信メール数が2002年26.4通、2003年35.1通、2005年45.7通と大きく伸びてきたが、2006年では43.4通と2005年からわずかに減少した。この原因について志賀氏は、「個人情報保護法が2005年4月から施行された影響で、企業が電子メールアドレスを管理するリスクに気づき、必要性のあまりないメール配信を停止したためではないか」と分析した。
送受信の通数を比較すると、送信が21.7通であるのに対し、受信が81.2通と4倍近い数値になっている。この不均衡の原因としては、「CCによる送信やメールマガジン」などが考えられるという。「ログが残る」ことがビジネスで利用する価値の1つであることから、「情報共有するために担当者間でCCを奨励する企業もあり、今後も受信数については増加するだろう」と志賀氏は述べた。
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電子メール受信数の増加。社外からのメールは、2006年に対前年比ではじめて減少
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電子メール増加の要因としては「記録として残せる」「情報共有」などが挙げられるという
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しかし、電子メール・アーカイビング・システムの利用については、導入済みはわずか7%。一方、個人で電子メール・アーカイバを「利用している」との回答は47%に上る。
2008年に本格施行が見込まれている日本版SOXの草案が11月に発表されたが、草案では5年間の情報の保管が挙げられている。志賀氏は、こうした状況の中で、企業の知的所有権に絡む情報なども多く含まれる電子メールが、保管も削除もまったく個人の裁量に任されているのが現状だと指摘した。
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アーカイブシステムを導入済みの企業は7%と、1割にも満たないのが現状
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日本版SOX法の状況
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今後の企業のコミュニケーションツールについて志賀氏は、「Web2.0的なサービスではまずプライベートで使ってみて、有効性や実用性の高いものについてはその後ビジネスでも活用するという広まり方をしている」と分析。
利用アンケートの結果によれば、Web2.0的サービスでは、辞書・自動翻訳と地図情報サービス、Wikipediaがとくに利用率が高かった。そのほか、ガートナーでは、今後ビジネス市場に広まるWeb2.0的サービスとしては、SNSに注目しているという。「現在、コンシューマー市場ではSNSが活用されており、リアルとネットがリンクした形で利用されている。mixiのようなサービスを利用することで、ユーザーは多面的なコミュニケーションを行なっている。SNSが今後ビジネスの世界に入って定着することで、ビジネスの世界が多面的になってくるのではないか」とビジネス市場におけるSNSサービスの展開に対する期待を述べた。
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最近では、コンシューマ市場で支持されたものがビジネス市場に入ってくる傾向があるという
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Web2.0的サービスの利用度。Bはビジネス、Pはパーソナルを示す。赤い矢印は、いずれもビジネスよりプライベートの利用が多いことを示す
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関連情報
■URL
ガートナージャパン
http://www.gartner.co.jp/
シマンテック
http://www.symantec.com/ja/jp/index.jsp
( 工藤ひろえ )
2006/12/18 17:11
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