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違法コピーの内部告発増加は個人の意識向上を示す、BSA活動報告


BSAメンバー企業日本代表の石澤一良氏
 ビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)は30日、2006年の主な活動報告と2007年の基本活動方針について記者説明会を実施した。それによると、2006年の組織内違法コピーの情報提供件数は前年比31件増の376件だった。

 BSAメンバーは、2006年に新たに6社加入し、2007年1月現在で33社となっている。BSAが2006年5月に発表したPCソフトの違法コピー調査では、日本のコピー率は2005年で28%、損害額は1,800億円だった。一方、全世界でのコピー率は35%で、損害額は340億ドルだった。日本の損害額は世界ワースト7位に入るという。

 組織内違法コピーの情報提供数は、2006年が376件となり、2005年の345件から31件増加した。情報提供は電話、メール、Webサイトの専用窓口に寄せられた件数となる。業界別の情報提供件数では、1位「ソフトウェア業界」88件、2位「広告・出版業界」27件、3位「印刷業界」18件が上位。ソフトウェア業界だけで全体の4分の1を占めるという。


日本と世界における違法コピーソフトの現状 組織内違法コピーの情報提供数(内部告発)

 BSA日本担当顧問の石原修弁護士は、「組織内違法コピーの情報提供は内部告発によるもの。公益通報者保護法ができたことで、内部告発も会社のコンプライアンスにとって重要だと認識されてきた。情報提供数の増加は、内部統制を始め、企業の透明性が求められる社会になってきたことで、コンプライアンスに対する個人意識が高まってきたことの表れ」と分析した。

 BSAでは、日本の違法コピー率は近年横這い状態であるにも関わらず、組織内違法コピーの情報提供数は増加していることについて、個人の意識が高まってきているためと分析する。BSAメンバー企業日本代表の石澤一良氏は、「ソフトウェア業界で内部告発が多いのは、他のソフトはコピーして使っているのに、自分の作ったソフトは買って欲しいという思いが罪悪感になるから」と話す。

 また、BSAでは、2006年2月に文部科学省より国立大学法人学長等に対して通知された「コンピュータソフトウェアの適正な管理の徹底について」を受け、教育・啓蒙活動「BSA国立大学法人等支援プロジェクト」を2006年8月に開始した。これは、国立大学における自主調査を支援するもので、有料のソフトウェア資産管理ツールをBSAの費用負担で一定度無償提供する。同プロジェクトで違法コピーが発見された場合、法的責任は免除される。このほか、新たに国際標準化機構(ISO)で標準化規格となったソフトウェア資産管理(SAM)に関する企業向けセミナーを実施した。

 BSAは、2007年の基本活動方針として、他の権利保護関連機関・団体と強調した「政策提言」や、インターネットオークションにおける「権利保護支援」の強化(違法出品への対応)を行なうほか、引き続きコンプライアンス支援を拡大し、「教育・啓発活動」に注力する。BSAでは、SAMのISO化や日本版SOX法を受け、コンプライアンス支援のニーズは、さらに高まると予測している。


BSAメンバー BSA日本担当顧問の石原修弁護士

BSA国立大学法人等支援プロジェクト 利用者意識とBSA活動の狙い

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.bsa.or.jp/press/2007/070130.htm

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( 野津 誠 )
2007/01/30 16:16

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