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IFPI会長やSanDisk会長、DRM問題でSteve Jobs氏を批判


 米AppleのCEOであるSteve Jobs氏が、4大レコード会社に対してDRMを廃止するよう提言したことに関して反論が出始めた。7日、国際レコード産業連盟(IFPI)の会長兼CEOであるJohn Kennedy氏と、MP3プレーヤーなど音楽業界と関連の深いデジタル機器を販売しているSanDiskの創業者で現会長兼CEOのEli Harari氏が、それぞれ意見を記した文書を発表した。


「我々はApple自身の商業的手法に敬意を払ってきた」とIFPI会長

 IFPIのKennedy氏は、Jobs氏がまず業界関係者との協議を密接に行なうべきだとの立場を展開。複数の音楽販売サービスや音楽再生機器の間のいわゆる相互運用性が必要だと主張していたのはIFPIの方であり、「しかしながら我々はいつもApple自身の商業的手法に敬意を払ってきた」と皮肉を込めて応酬した。相互運用性にはJobs氏が主張するほどの問題は存在しておらず、まずJobs氏が業界関係者とともに座し、良い点と悪い点を密接かつ理性的に議論する必要があると指摘。「現在に至るまで、Steve Jobsは相互運用性を提唱してきていなかったが、もしかしたら今や相互運用性とDRMを組み合わせて、Apple、音楽業界、一般消費者にとってのWin-Winシナリオを見つけるための扉が開かれたのかもしれない」と結んでいる。

 それ以外にも、IFPIの会長兼CEOとしてDRMのセキュリティを維持しながら相互運用性を実装することがJobs氏が主張するほど難しいとの報告を受けておらず、相互運用性とDRM双方を両立させることができないという印象を与えることは不正確であること、これが可能であることはMicrosoftが「PlaysForSure」戦略を数百の音楽サービスとデバイスに対して実践していることが現実に示していることを指摘した。また、「Steve Jobsは、Apple自身のソフトウェアがオープンソースであるべきであり、DisneyとPixarが販売している映画をDRM保護なしで販売すべきであると主張しているのだろうか」と皮肉っている。


自分が購入した曲を自分が所有するデバイスで再生する自由を

 SanDiskのHarari氏は、IFPIのKennedy氏ほど皮肉っぽい態度はとらず、書簡の中でもAppleやSteve Jobs氏の名前を直接挙げなかった。あくまで最近起こっているデジタル音楽に関する議論に関してSanDiskとしての見解を表明するという立場を崩していない。

 その上で、SanDiskとしてのこの問題に対する答えが「関係するすべての人の利権を守ることであり、権利者が創造し、維持してきたエンターテイメントを守ろうとする試みを激しく責めたりしないことだ」と、暗にJobs氏の公開書簡の内容を批判している。

 次にSanDiskの代表者としての考えを述べた。それは、一般消費者は自分が購入したものを自分が所有するデバイスで再生する自由があること、DRMに関する決定はデバイスメーカーではなく音楽業界に委ねるべきであること、音楽を守るために一企業のサービスやデバイスに消費者を閉じ込めておく必要はなく、今やその壁を崩すときが来たことなどを指摘している。また、「SanDiskは衝突を引き起こすことよりもソリューションを作り出すというより大きな視点で物事を見ている」と述べ、消費者、音楽業界、競合企業すべてにとって有益なソリューションを作り出すことにコミットしていく考えを表明している。


関連情報

URL
  IFPIのニュースリリース(英文)
  http://www.ifpi.org/content/section_news/20070208.html
  SanDiskのニュースリリース(英文)
  http://www.sandisk.com/Corporate/About/OpenLetter.html

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米Appleのスティーブ・ジョブズCEO、4大レコード会社にDRM廃止を提言(2007/02/07)


( 青木大我 taiga@scientist.com )
2007/02/09 12:05

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