マイクロソフトは、Windows XPの自動更新機能を用いて、正規のWindowsを認証するプログラム「Windows Genuine Advantage Notifications(WGA Notification)」を21日に開始する。日本をはじめとする22言語のWindows XPユーザーが対象となる。
「Windows Genuine Advantage(WGA)」は、ユーザーが利用しているWindows XPが正規版かどうかを確認する違法コピー対策プログラムで、マイクロソフトが2005年7月より実施している。偽造と判定されたWindowsでは、Internet Explorer 7.0やWindows Defenderなど多数の更新プログラムをインストールすることができなくなる。
従来のWGAは、Windows Update、Microsoft Update、ダウンロードセンターからプログラムをダウンロードする際に、Windowsが正規品かどうかを確認していた。今後は、Windows XPの自動更新機能を通じてWGA Notificationがインストールされ、Windowsのライセンス認証が行なわれる。これにより、これまで以上に多くのユーザーがWGAを利用することになる。
● 自動更新機能からWGA Notificationsをインストールする手順
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自動更新からのインストール
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モジュールのインストールが終了するとウィザードが立ち上がる
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Windows XPの自動更新を有効にしている場合、WGAのモジュールが自動的にダウンロードされ、ユーザーにインストールの準備ができたことが通知される。その後、EULA(使用許諾書)に同意するとライセンス認証を実施。正規品と認証されなかった場合は、マイクロソフトの専用サイトで詳細を確認したり、正規ライセンスを購入することが可能だ。Windows XP SP2を適用していないPCでは、SP2のインストールを促すメッセージが表示される。なお、一度インストールされたWGA Notificationは、削除できない。
正規のWindowsと認証されなかった場合、PCを次回以降起動する際にログオン画面右下に「お客様は偽造ソフトウェアの被害に遭われた可能性があります」という警告画面が表示される。さらに、ログオン画面でユーザーを選択すると、不正品を利用している旨のメッセージが表示され、「今すぐ解決する」または「後で解決する」のいずれかを選択してログオンすることになる。
「今すぐ解決する」を選択してログオンすると、認証に失敗した理由を明記したWebページが表示され、解決方法を確認したり、正規ライセンスを購入できる。一方、「後で解決する」を選んでも通常通りログオンできるが、画面右下に警告文がポップアップで一定時間表示される。この場合、タスクバーにWGA Notifierアイコンが追加されるが、これを右クリックすると、認証が失敗した結果の詳細ページや正規ライセンスの購入ページ、WGAの詳細ページ、警告文の通知設定ページへのリンクを選べる。通知設定ページでは、警告文の表示を無効にすることも可能だ。
正規ライセンスの購入ページでは、偽造されたWindowsの被害に遭ったユーザー向けのプロダクトキー「Windows Genuine Advantage Kit(WGA Kit)」を販売する。これを購入すれば、現在使っているWindowsを再インストールすることなく正規品に変換できる。WGA Kitの価格は、Windows XP Professionalが18,725円、XP Home Editionが12,375円。偽造ソフトの購入証明書や偽造版CD-ROMを提出したユーザーに対しては、マイクロソフトが審査した上で正規ソフトウェアを無償提供することもある。
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EULA(使用許諾書)に同意する
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Windowsの構成が検査され、ファイルが更新される
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インストール終了後、正常に認証されたダイアログと正常品と認証されなかったダイアログ
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不正品と判断された場合、ログオンが面したに注意を促す画像が表示される
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ログオン画面でユーザーを選択すると、不正品を利用している旨のメッセージが表示される
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ログオン画面のメッセージで「今すぐ解決する」を選択すると、認証に失敗した理由を明記するページが表示される
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ログオン画面のメッセージで「後で解決する」を選択してもログインできるが、画面右下に警告文がポップアップ表示される
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「後で解決する」を選んでログオンすると、タスクバーにWGA Notifierアイコンが追加される
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マイクロソフトの篠田尚平Windows本部マネージャ
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なお、WGA Notificationのインストールを拒否することも可能だ。そのため、確信犯として海賊版のWindowsを使用しているユーザーは、WGA Notificationを利用しないことが想定されるが、マイクロソフトの篠田尚平Windows本部マネージャは、WGAを手がける目的について「偽造ソフトウェアの被害からユーザーとパートナー企業を守るため」と説明する。
「主に海外では、違法コピーであることを知らずに入手したソフトウェアにウイルスやスパイウェアが混入しているケースは少なくない。また、海賊版ソフトが安価で出回ることにより、正規品のソフトを提供する企業の販売に悪影響が出ている」。
マイクロソフトによれば、WGAを開始した2005年7月以来、世界で5億台以上のPCがWindowsのライセンス認証を行ない、このうち認証が失敗したのは22%だったという。日本における認証の失敗率は7%と、世界の平均からすると低いが「無視はできない数字」(篠田氏)。特に日本では、企業向けのボリュームライセンスキーが流出して違法に使われたり、悪意のあるユーザーが独自にボリュームライセンスキーを作る事例などが多いとしている。
関連情報
■URL
WGA Notificationsの概要
http://www.microsoft.com/genuine/AboutNotifications.aspx
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・ マイクロソフト、Windows XP向け“海賊版チェック”日本でも開始(2005/03/15)
( 増田 覚 )
2007/02/20 17:50
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