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バスやタクシー8,500台の走行データを元にしたリアルタイム渋滞情報

青山で実車デモを披露

デモで披露された渋滞情報。各道路の渋滞状況を5分周期で提供する
 経済産業省とソフトウェアエンジニアリング技術研究組合(COSE)は22日、タクシーやバス会社などが持つ車の走行データを利用し、5分周期でリアルタイムに渋滞情報を生成するシステムのデモを公開した。デモは東京・青山のTEPIAで、23日まで公開される。

 経済産業省とCOSEでは、高品質なソフトウェアを効率的に開発する手法の研究の一環として、リアルタイムの交通情報を提供する「リアルタイム・プローブ情報プラットフォームソフトウェア」の構築に着手。COSEには、NTTデータ、デンソー、トヨタ自動車、NEC、日立製作所、富士通、松下電器産業が参加。異業種で構成する研究組合型マルチベンダー開発体制により、2004年度から開発を行なってきた。

 今回披露されたシステムは、東京都内の20km四方をエリアとして、タクシーやバス、配送車など約8,500台の走行データをリアルタイムに収集し、5分周期で渋滞情報を生成するもの。データはタクシーの配車システムなど既にあるものを活用し、各社のデータを共通化した上で処理を行ない、データの収集から渋滞情報の生成までを3分30秒以内に行なえるシステムの構築に成功した。


タクシー、バス、配送車など各社が持つ既存の情報を収集して渋滞情報を生成するシステム 12月に実施した実験の例。緑の点がタクシー、青の点がバスで、これらのデータを収集している

 このシステムを実際に搭載したマイクロバスも用意され、会場のある青山周辺を走行するデモを行なっている。日中では平均して約4,000台の車からのデータが集められ、渋滞情報はエリア内の国道・都道府県道の約80%をカバーする。渋滞情報は地図上に色分けして表示するほか、交差点では目的地までの予想時間を進行方向ごとに表示する機能に対応。また、目的地到着までの時間を「最短○分、最長○分」といった形で、70%の信頼水準で幅を持たせて通知する機能も備えた。

 車へのデータの送信は、デモでは無線LANと携帯電話を併用。地図の表示などはPCを利用するほか、携帯電話の画面に対応した地図表示のシステムも構築した。経済産業省とCOSEでは、今回構築したシステムについて、タクシー会社やバス会社などが既に持っているデータを活用することで、低コストで、きめ細かい渋滞情報がリアルタイムに生成できたと評価している。

 今回のプロジェクトはソフトウェア開発事業の一例として行なわれたもので、カーナビへの搭載などの実用化については参加企業各社が今後検討していくことになる。経済産業省とCOSEでは、今回のシステム開発の手法の応用としては、気象データや駐車場のデータなどを収集して分析・データ化する方法などが考えられるとしている。


走行デモ時のデータ。4,661台の車からデータを収集し、渋滞情報は主要道の88%をカバーしている 交差点では進行方向によって予想所要時間がどう変わるかを事前に表示する

目的地までの所要時間は「最短○分、最長○分」と幅を持たせた形での表示が可能 デモで使われたマイクロバス。無線LANと携帯電話を併用して通信を行なう

関連情報

URL
  先進的ソフトウェア開発プロジェクト公開デモンストレーション
  http://www.cose.jpn.org/cose/event/
  関連記事:インターネットITSの共通アーキテクチャー策定へ
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0531/iits.htm
  関連記事:名古屋では5台に1台が“インターネットタクシー”
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0129/iits.htm


( 三柳英樹 )
2007/02/22 17:01

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