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MSNで「感動」を、Windows Liveでは「感謝」を提供していく

MSオンラインサービス事業部の新執行役・笹本裕氏

マイクロソフト オンラインサービス事業部 執行役事業部長の笹本裕氏

笹本氏の考えるメディアビジネスの方程式

MSNとWindows Liveの棲み分け
 マイクロソフトのオンラインサービス事業部の執行役事業部長に、元MTVジャパン代表取締役社長兼CEOの笹本裕氏が就任した。2日、報道関係者向けの懇親会が開催され、笹本氏が事業方針を説明。今後の事業展開にあたっては、「感動×感謝=メディアビジネス」という方程式に基づいて進めていくことを明らかにした。

 笹本氏は、リクルートで電子メディア事業部やISIZE事業部の副編集長などを務めた後、レストランの口コミレビューサイト「レストランガイド」(askU.com)の立ち上げに参加。2000年以降はMTVジャパンの取締役COO、代表取締役社長兼CEOなどを経て、2007年2月にマイクロソフトの執行役に就任した。

 このようなバックグラウンドを持つ笹本氏は、「自分の中でメディアビジネスというものの考え方は、この方程式に置き換えられると思っている」として、「感動×感謝=メディアビジネス」という方程式を示した。

 笹本氏によれば、感動というのは「コンテンツを通して提供できる情報」であり、「優良なコンテンツは、利用者にとって感情移入でき、信頼を得られる。しかし、感動は、決して感謝を与えるものではない」。一方、リクルートやレストランガイドはその逆で、情報がわかりやすく整理・リスティングされており、自分の理想のレストランを探せるといった意味で「サービスそのものが利用者にとって感謝していただけるものだった」。これらを単に足し算するのではなく掛け合わせることが、メディアビジネスの収入や影響力を最大化していく──そういう意味が、この方程式に込められている。

 マイクロソフトにおいては、感動の部分は「MSN」、感謝の部分は「Windows Live」というブランドでそれぞれ担当し、「これらの事業が掛け合わさった時に、マイクロソフトのオンラインサービス事業部が大きな影響力を持つものとなる」と強調する。

 このうちWindows Liveは、ソフトウェアプラットフォームポータルという位置づけであり、主にユーザーに感謝を提供していく。「感謝していただけるかどうかは、いかにカスタマイズできるかが重要。Windows Liveは、カスタマイズ寄りになっていく」。一方のMSNは、コンテンツを中心としたメディアポータルという位置付けだ。

 ここで笹本氏は、おなじみのロングテールのグラフを示し、テールの部分をWindows Liveが担当すると説明。例えばマニアックな音楽の情報をサーチエンジンで検索した時の検索結果自体も一種のコンテンツだと指摘した上で、「ロングテールのテールの所まで、感謝していただけるコンテンツを提供していくのがWindows Liveのポジション」だとした。一方でMSNは、ヘッドの部分を担当し、「間口を広くとらえて、老若男女、誰でもわかるようなところめざす」。


コンテンツの本格展開へ、各国に「エグゼクティブプロデューサー」設置

マイクロソフト オンラインサービス事業部 MSNメディアネットワークエグゼクティブプロデューサーのSean Chu氏

インターネットの利用者が情報に接する方法と、その利用者の規模を示した図
 Windows Liveについては、すでに「Live戦略」として、Microsoftにとって大きな戦略転換がなされている。一方、感動を提供するコンテンツ、すなわちMSNについては、Microsoftが世界各国のオンラインサービス事業部に「MSNメディアネットワークエグゼクティブプロデューサー」というポストを設けた。笹本氏によれば、これは「Microsoftが本格的にコンテンツビジネスを展開していくのだという宣言」になるという。

 笹本氏が執行役に就いたのと同じ2月、日本でそのポストに就任したのがSean Chu氏である。懇親会にはSean Chu氏も出席。感動を提供するコンテンツの事業についての自身の考えを示した。

 Sean Chu氏によると、インターネットの利用者が情報に接する方法としては、「検索」「コミュニティ」「ツール」「情報提供」「エンターテイメント」「マスイベント」というものがあるという。このうち、検索やコミュニティ、ツールを担当するのがWindows Liveのサービスだ。

 一方、MSNが担当するのが、ニュースなどの情報提供、現在「GyaO」などで展開されているようなエンターテイメント、そして多くの人が注目するマスイベントだ。マスイベントについては、「テレビで視聴率30%を獲得するにはどういった番組が作れるのか、それをインターネットで展開することが可能なのか」ということが今後の課題であり、MSNのサイト上で強化していく必要性があるとする。

 マスイベントについては、米国のMSNですでに積極的に導入し出しており、アカデミー賞やゴールデングローブ賞の中継などが行なわれた。さらに、7月に世界7都市で同時展開するコンサート「Live Earth」が計画されており、これは日本でも展開する予定だという。

 最後にSean Chu氏は、メディアポータル上でコンテンツを提供するにはある程度の感動が必要であり、「発見」「提案」「刺激」「リスペクト」といった要素が不可欠だと説明。「この中でいちばん重要なのが、提案とリスペクトだ。知りたい情報を検索するのではなく、我々のほうから新しい情報を提案したり、新しいトレンドセッターとなっていくメディアになるべきと考えている。また、信頼・尊敬されるメディアであるべきと考えている」とした。


関連情報

URL
  Windows Live
  http://www.live.jp/
  MSN Japan
  http://www.msn.jp/
  Live Earth(英文)
  http://liveearth.msn.com/

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( 永沢 茂 )
2007/03/02 19:48

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