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実験が公開された京都府精華町のNICT知識創生コミュニケーション研究センター
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総務省は9日、京都の関西学研都市で行なわれている情報家電の相互接続実証実験の内容を公開した。この相互接続実証実験は、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)などの協力を得て実施。デジタルテレビをはじめとした情報家電を相互接続するホームネットワーク環境において、安全性の向上や機能の高度化に向けた研究開発や標準化作業の推進などを目的に行なわれた。
実験は、京都府精華町の関西学研都市にあるNICT知識創生コミュニケーション研究センターに設置された「NICTけいはんなユビキタスホーム」で、3月7日~9日にかけて実施。NICTのほか、NEC、NTT、キヤノン、KDDI、セイコーエプソン、ソニー、東芝、松下電器産業、三菱電機などの各メーカー、研究機関などが参加し、情報家電の相互接続試験などを行なった。
● DLNAによるデジタル放送伝送、ネット経由で遠隔地との接続も
東芝、ソニー、NEC、NECパーソナルプロダクツの4社は、デジタルレコーダーやPCなどをDLNAで接続し、デジタル放送の転送には著作権保護の仕組みとしてDTCP-IPを使用する実験を実施。これにより、異なるメーカーの製品間であっても、デジタル放送の録画コンテンツなどがLAN経由で視聴できるようになる。
実験会場では、2部屋に分かれて設置されたBlu-ray DiskレコーダーやPCなどの各機器間がLANで結ばれ、どの機器からも他の機器を一覧で見ることができ、コンテンツも視聴可能となるデモを披露した。
KDDIでは、宅内のDLNA環境をさらに他の家からも利用できるようにする「W-DLNA」のシステムを公開した。W-DLNAの技術では、家と家の間をインターネット経由でSIPにより接続し、各家庭のルータがDLNAとSIPを取り持つゲートウェイの役割を果たす。これにより、認証を行なうことで家にあるルータが仮想のDLNA端末となり、遠隔地にある実際のDLNA端末から操作できるようにする。
会場では、携帯電話を用いた認証によるW-DLNAのデモを披露。認証を行なうと、自宅のDLNAネットワーク上に仮想のDLNA端末が存在するように見え、通常のDLNA端末と同様に離れた場所にあるHDDレコーダーのコンテンツを視聴できた。宅内でのネットワークとしては、同軸ケーブルの両端にモデムを設置し、LANとして利用する方法を採用している。
また、同様の仕組みを携帯電話で利用し、auのBREWアプリから自宅内のDLNA端末を操作し、コンテンツが視聴できるデモも披露した。BREWアプリからの利用についてはパケット量などの制限もあるため、コンテンツをダイジェストの形で短くまとめて視聴するといった方法も検討しているという。
会場の担当者によれば、こうしたサービスを実際に提供するには、帯域の問題からさらに動画を圧縮して送信する仕組みや、権利関係などをクリアにする必要があるとのことだが、KDDIのFTTHサービス「ひかりone」の利用者など向けに、早期に提供していきたいという。
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DLNAにより東芝のテレビからソニーのBlu-ray Diskレコーダーを操作。映像もDTCP-IPでLAN経由で伝送される
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KDDIによる「W-DLNA」のデモ。遠隔地にあるDLNA機器が「Virtual MediaServer」として見え、宅内の機器と同様に操作できる
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W-DLNAにより携帯電話から宅内のDLNA機器に接続し、遠隔地での視聴を許可するコンテンツの指定などを行なう
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コンテンツは携帯電話上でも視聴が可能
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映像関連以外では、東京ガスやNTTなど4社の共同実験による浴室内のガス機器やテレビ、照明などの統合環境「NEW浴Program」や、YKK APとNTTの共同実験による室内・室外のセンサーと連動した窓の開閉システム「快適住空間制御」などが披露された。これらは、情報家電やセンサーなどの接続によりサービスを提供するための枠組みであるOSGi(Open Service Gateway initiative)標準に基づくサービスとして開発されており、ネットワークを通じてソフトウェアやモジュールをダウンロードすることで、新しいサービスの追加や機能の変更が行なえる点が特徴としている。
今回の実験を統括した北陸先端科学技術大学院大学の丹康雄助教授は、「今回の実験は既にある機器を使った相互接続だが、来年度以降はさらにネットワーク上のサービスとの連携を考えていきたい」と説明。また、通信会社などが構築を進める次世代ネットワーク「NGN」においては、課金や認証の仕組みをネットワーク側で提供できることや、QoSなどの仕組みが盛り込まれることで、家庭とサービス提供会社間や家庭間での連携がスムーズに行なえるようになるだろうという見通しを語った。
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浴室内のテレビ、照明、ガス機器などを統合的に制御し、リラックスのためのメニューなどを提供する「NEW浴Program」
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気温や風速などの各種センサーと窓の自動開閉装置を組み合わせた「快適住環境制御」システムの概要
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/070302_5.html
W-DLNAに関するニュースリリース(KDDI研究所、PDF)
http://www.kddilabs.jp/pr_pdf/20061219DLNA.pdf
NEW浴Programに関するニュースリリース(NTTコミュニケーションズ)
http://www.ntt.com/release/2006NEWS/0011/1127.html
住空間制御技術に関するニュースリリース(YKK AP)
http://www.ykkap.co.jp/news/2007/20070227-2.asp
■関連記事
・ 総務省、情報家電を接続したホームネットワーク環境の実証実験(2007/03/02)
( 三柳英樹 )
2007/03/12 16:22
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