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Wikipediaの問題を改良した実名投稿の「Citizendium」公開


 信頼性の高いネット百科事典を作るためのプロジェクト「Citizendium」が25日、サイトを一般に公開した。2006年11月に始まったこのプロジェクトには現在1,100の記事があり、テスト期間中も順調に成長しつづけてきた。

 ネット百科事典としてはWikipediaが圧倒的に有名だが、Wikipediaでは身分を明かさなくても記事を編集して投稿できるため、記事の信頼性に問題を生じることがあり、最近では社会的な問題にもなりつつある。

 Citizendiumを設立したLarry Sanger氏はWikipediaの創設時から関わっており、この問題を解決するために、専門家の監督のもとに一般人が実名で記事を投稿するというCitizendiumのモデルに行き着いた。そして、実現のためにNPO法人を設立し、寄附などによってプロジェクトを維持する体制を築いた。

 Citizendiumには2つの役職がある。記事の品質を確保することに責任を持つ編集者と、実際に記事を投稿する執筆者である。編集者となるために必ずしも博士号を持っている必要はないが、特に学術的な内容が関係する場合には、その分野で大学教育などの専門的な教育課程を経ていることを示す必要がある。それ以外の専門的分野、あるいは趣味の領域などの分野でも、その分野で責任ある編集が行えることを示す証拠が必要となる。

 記事の執筆者には誰でもなれるが、Wikipediaとは異なり、実名で投稿しなければならない。そして、記事の品質を高めるためにできるだけの努力を払うことが求められている。その上で編集者が記事の内容に間違いが無いかどうかを確認し、場合によっては訂正が求められる。

 このように、誰でも参加することができる「wiki」の特性をできるだけ維持しつつ、専門家の関与を強め、実名投稿を義務付けることによって品質を高めるというのがCitizendiumのモデルだ。Citizendiumは現在英語版が用意されており、これが成功すればほかの言語にも進出する可能性があるとしている。


関連情報

URL
  Citizendium(英文)
  http://en.citizendium.org/wiki/Main_Page


( 青木大我 taiga@scientist.com )
2007/03/27 12:00

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