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2006年の中国ネット経済、市場規模は5,200億円強

検索広告では百度とgoogle中国がシェアを拡大

 中国のリサーチ会社iReserchは、2006年の中国ネット経済市場規模調査を発表した。調査によれば、2006年のネット経済市場規模は前年比40%増の336億元(5,200億円強)。なお、この調査における「ネット経済市場」とは、オンラインゲーム、オンライン広告、検索広告、オンラインショッピング、B2B取引、オンラインチャージ、オンライン旅行予約、ホスティングサービス、オンライン就職支援サービスなどインターネットに関わるさまざまなビジネスを含む。


ベンダー別トップ10には各ジャンルの勝ち組がずらり

 2006年のネット経済市場のジャンル別では、オンラインチャージ(34.8%)が最もシェアが高く、オンラインゲーム(23.2%)、オンライン広告(13.9%)が1割を超える。以下は、B2B取引(5.7%)、オンライン旅行予約(4.6%)、検索サイト(4.1%)、オンライン就職支援サービス(3.1%)、オンラインショッピング(1.4%)と続く。


 2006年のネット経済市場全体のベンダー別シェアでは、中国でブレイクしているインスタントメッセンジャー(MM)「QQ」のベンダーの「騰訊(Tencent)」(8.3%)が最大のシェアを獲得。2位に中国最大となる1億7000万ものフリーメールアカウントを発行し、またオンラインゲームベンダーとしても有名な中国3大ポータルサイトの1つ「網易(NetEase)」(6.6%)。

 以下、3位に日本にも進出する中国最大のB2Bサイトの「阿里巴巴(alibaba)」(5.4%)、4位に3大ポータルサイトでも最大のPVを誇る「新浪(Sina)」(5.1%)、5位に中国最大のオンラインゲームベンダーの「盛大(Shanda)」(4.9%)と、やはり中国有数の大手サイトが並ぶ。

 以下6位から10位までは、Skypeの提携企業でありオンラインチャージのサービスで有名な「TOM」(4.1%)、3大ポータルサイトの1つである「捜狐(SOHU)」(3.2%)、著名オンラインゲームベンダーの「第九城市(the9)」(2.9%)、検索ポータルサイトの「百度(Baidu)」(2.5%)、中国最大の携帯電話向けWAPポータルサイトの「空中網(KongZhong)」(2.5%)と続いた。

 騰訊がトップシェアとなったのは、IMのQQのアカウントを利用したオンラインゲーム(オンラインゲーム市場中5位)や、QQのアバターなど付帯サービスで利用するバーチャルマネーのチャージ(オンラインチャージ市場中3位)や、QQのポータルサイト(オンライン広告市場中4位)のサービスでいずれも上位の収益を得たことが影響している。

 一方で、日本にも進出した百度は、検索広告市場でダントツの1位となったものの、検索広告が主なる収入源となっているため、物販や決済サービスなども含めたネット経済市場全体では9位という結果になった。


シェアを伸ばした百度とGoogle中国、急降下したYahoo中国

検索広告市場サイト別シェア。百度の急伸とYahoo中国の急落が目につく
 ネット経済市場の中の検索広告市場に着目すると、2006年の検索広告市場の規模は13億9,000万元(約215億5,000万円)であり、ベンダー別では1位の百度(55.2%)が5割以上のシェアを独占。2位以下のGoogle中国(21.7%)、Yahoo中国(7.2%)、捜狐(6.5%)、新浪(2.9%)に圧倒的な差をつけた。この百度の一人勝ちは以前からずっと続いているわけではなく、2006年に急激にシェアを伸ばした結果だ。

 また、2003年以降、広告収入で百度を超えたことがないGoogleも年々中国でシェアを増やしており、2006年も百度に及ばないとはいえ、Googleも大きくシェアを伸ばした。

 一方で、Yahoo中国を筆頭としたその他の企業はいずれもシェアを落としている。2003年時には、百度とYahoo中国は現在とは逆の立場で、Yahoo中国が一人勝ちしており、百度は数ある検索サイトの1つでしかなかったのだが、Yahoo中国は2003年以降シェアを落とし、2006年には百度に首位を明け渡しただけでなく、同時にGoogle中国にもシェアを奪われる結果となった。


総合ポータルサイトほかIT系ポータルサイトも大きな収益

オンライン広告市場サイト別シェア
 Web広告市場について着目すると、市場規模は46億6,000万元(約722億5,000万円)、トップ3は3大ポータルサイトの新浪(20.4%)、捜狐(13.9%)、網易(6.7%)となった。

 上位10サイトのうち、3サイトがIT系総合サイトであるのが目を引く。CNNIC(China Internet Network Information Center)の定期的なインターネット利用調査で、PC系のWebページを多くの人が見ていることが明らかになっている。インターネット利用者ではPCを初めとしたIT機器やツールを日常的に利用している率が高いことを反映していると思われる。なお、トップ10のサイト内容の内訳を見ると、総合ポータルが6サイト、IT系ポータルが3サイト、それに住宅情報系ポータルが1サイトとなった。


オンラインショッピング市場は2010年に1兆4000億円規模に

 ネット経済市場の中のオンラインショッピング市場に着目すると、2006年のオンラインショッピング市場の規模は23億8,000万元(約369億円)であり、B2B(企業間取引)とC2C(個人売買)に分けると、前者が19億元(約295億円)、後者が4億8,000万元(約74億5,000万円)となった。B2Bでは阿里巴巴(63.2%)がトップシェアで、C2Cでは阿里巴巴配下の淘宝網(65.2%)が米国企業のEbay(26.1%)を圧倒した結果となった。

 今後について、2007年のネット経済市場規模は460億元規模(7,100億円強)を、2010年には900億元超(1兆4,000億円)を予想する。2004年まではオンラインチャージがネット経済市場額の半分近くであったが、それ以降オンラインチャージの比率が年々減少し、それ以外のサービスの比率が高まると予測している。


URL
  iResearchニュースリリース(中文)
  http://www.iresearch.com.cn/html/online_media/detail_free_id_42306.html


( 山谷剛史 )
2007/04/06 16:34

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