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国立情報学研究所の安達淳教授(左)と漆谷重雄教授(右)
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国立情報学研究所(NII)は1日、次世代学術情報ネットワーク「SINET3」の本格運用を開始したと発表した。SINET3は大学等の学術機関を結ぶネットワークで、最大40Gbpsの基幹回線を採用するとともに、帯域オンデマンドなど実用ネットワークでは世界初となるサービスを提供する。
NIIではこれまで、大学等の学術研究機関のためのネットワーク「SINET」と、最大10Gbpsの回線による超高速ネットワーク「スーパーSINET」を運用してきたが、これを統合してさらに高速な最大40Gbpsの回線を採用した次世代ネットワーク「SINET3」を構築。6月1日から本格運用を開始した。
SINET3では、基幹回線では東名阪に40Gbpsの超高速回線を採用するとともに、北海道から九州までを10~20Gbpsの回線でループ状に接続。災害や障害の発生時にも、迂回経路を利用できるネットワークを構築した。
ネットワークはレイヤ1スイッチとIPルータを組み合わせた構成により、異なるレイヤのサービスを同時に提供できる環境を実現。IP(レイヤ3)、イーサネット(レイヤ2)、専用線(レイヤ1)の各レイヤにおいて、接続サービス、VPNサービス、QoSサービスを提供する。
また、「13時~14時に東京-大阪間で1Gbpsの回線を確保したい」といった要求に応える「帯域オンデマンドサービス」も提供する。従来はこうした要求に対しては、各拠点で機器の設定が必要なため提供までに数カ月かかっていたが、SINET3ではユーザーがオンデマンドサーバーから予約すると各機器の設定が自動的に行なわれ、即座に利用できるようになった。
こうした各サービスの実現には、サービスを中断せずにレイヤ1のトラフィックを確保するLCAS技術や、光パスを制御するGMPLSなど、実用ネットワークでの採用は世界初となる技術を採用している。NIIの安達淳教授は、こうした先端技術を採用したSINET3を「NGNの先を行く技術を意欲的に取り込んだネットワーク」と説明。研究機関のインフラとしての役割に加えて、大型研究設備の遠隔利用やグリッドコンピューティングなど、先端的な研究の利用に期待したいとした。
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SINET3の基幹ネットワーク
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必要な時に帯域が確保できる「帯域オンデマンドサービス」を提供
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関連情報
■URL
ニュースリリース(PDF)
http://www.sinet.ad.jp/sinet/info/press070601.pdf
SINET学術ネットワーク
http://www.sinet.ad.jp/
国立情報学研究所
http://www.nii.ac.jp/
( 三柳英樹 )
2007/06/01 17:48
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