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中国における未成年者のネット利用実態、調査レポート発表


 中国における未成年者のインターネット利用実態について、中国青少年社会服務中心などが実施した調査の結果が発表された。調査は北京市、上海市、重慶市、四川省、広東省、黒龍江省、山東省、江蘇省、陝西省、湖北省の10省市の未成年者を対象にしている。いずれの地域も比較的高所得な地域であるため、中国全体というよりは中国の豊かな地域におけるデータととらえたほうがよいだろう。


利用頻度、最も多いのは「1週間に1回、1回2時間以下」

 インターネットの利用率については、未成年者の85.21%がインターネット利用者であることが判明した。地域別では都市部で88.21%、農村部で79.18%。学校別では中学生で80.97%、高校生で88.98%だった。利用者のうち10.43%が「インターネットの利用方法について熟知している」と回答、4.36%が「インターネットを利用したかどうかわからない」と回答している。多くの未成年者が利用している一方で、調査対象の両親の利用率は66.53%にとどまることも判明した。

 利用頻度は「だいたい1週間に1回」(39.10%)が最も多い回答となった。「毎日インターネットを利用する」が10.95%いる一方、「数カ月に1回」という回答も8.19%あった。

 1回の利用における利用時間は、2時間以下が70.85%。特に「1時間程度」と「2時間程度」という回答が際立って多かった。一方で10.89%が1日4時間以上利用すると回答した。

 利用頻度、利用時間いずれについても、中学生、高校生を問わず、また都市部、農村部を問わず同じ傾向となった。ただし、地域別で見ると広東省だけは「1日数回インターネットを利用する」「1回に5時間以上利用する」という利用者が際立って多かった。

 調査対象のうち74.9%が「インターネットにはまったことはない」と回答しているが、40.81%の人が「学校内にインターネット依存症の人がいる」と回答している。


所得格差により異なる利用歴と利用場所

 インターネット利用歴は、全体の52.9%が1年以内と回答しており、最近利用を始めた人が多いことが判明した。一方で「1年以上3年未満」(19.24%)や「3年以上」(21.88%)と回答した利用者も少なくなかった。「3年以上」の回答を地域別で見ると重慶市(39.31%)や北京市(29.31%)が他の地域を引き離した。都市部と農村部でも違いが見られ、農村部では最近数カ月以内に利用し始めた人が都市部よりも多かった。

 インターネットを利用する場所は、都市部では「家」(51.86%)、「ネットカフェ」(21.85%)、「学校」(16.58%)、「(図書館などの)公共の場所」(6.00%)の順。農村部では「学校」(30.64%)、「ネットカフェ」(29.32%)、「家」(28.21%)、「公共の場所」(7.08%)という結果となった。都市部と農村部では所得格差のため、PCの普及状況にも差が出ており、これが調査結果の違いに現われたのだろう。

 兄弟の有無でも同様の傾向があり、一人っ子だと「家」(50.29%)、「インターネットカフェ」(21.40%)、「学校」(18.17%)であるのに対し、兄弟持ちだと「家」(36.50%)、「ネットカフェ」(30.09%)、「学校」(22.99%)となり、家での利用率と、ネットカフェや学校での利用率が相反関係にあることがわかる。


中国の未成年者がインターネットですることは?

 インターネットを利用する主な目的として、最も多かったのが「娯楽」(45.05%)という回答で、以下「友人とのコミュニケーション手段」(17.89%)、「学習目的」(15.65%)、「調べもの」(9.43%)、「宿題のため」(6.48%)、「よくわからない/なんとなく」(3.63%)となった。

 都市部と農村部では同じ傾向ではあるが、数値が若干異なる。農村部は娯楽目的が39.13%で、都市部の46.34%よりも低かった。一方で、学習、コミュニケーション、調べものを目的とした数値は農村部が都市部を上回った。一人っ子と兄弟持ちでも同様の違いを見ることができた。兄弟持ちの人は前述したとおり、公共の場所でのンターネット利用が多いことが影響しているのだろうか。

 「インターネットを使った好きなことは?」という質問に対しては、「オンラインでの音楽の視聴とダウンロード」(68.28%)、「オンラインビデオの視聴とダウンロード」(59.96%)といったコンテンツ、「インスタントメッセンジャー」(66.31%)や「BBS」(59.57%)といったコミュニケーションの手段、「ニュース閲覧」(62.83%)や「情報の入手」(61.75%)、「(検索サイトを利用した)情報の検索」(51.71%)といった情報の入手の手段、そして「オンラインゲーム」(62.85%)の8つの回答が多かった。この結果について都市部と農村部でほぼ同じ傾向が見られたが、BBSの利用だけは農村部の利用は極端に低いものとなった。

 オンラインゲームについては、66.01%が「遊んだことがある」と回答。また、「遊んだことがない」と回答した人のうち32.63%が「遊んでみたい」と回答している。

 どのような内容のコンテンツを見るかについては、全体では「画像・漫画」(41.85%)、「動画や音楽コンテンツ」(39.64%)が多く、次いで「学生向けコンテンツ」(24.56%)となった。農村部ではこれら3コンテンツに加え、「ニュース」(24.66%)、「出会い系コンテンツ」(22.58%)、「軍事情報」(20.25%)が上位に入った。


検索サイトの人気は「百度」「Yahoo!」「Google」の順

 中国のどの著名ポータルサイトを好んで訪れるかについては、検索サイトでは「百度」(68.68%)が、「Yahoo!中国」(26.91%)と「Google」(24.12%)を凌駕する結果となった。また、割合で言えば、都市部よりも農村部でより百度が好んで利用されていることが判明した。大手ポータルサイトは「QQ網」(48.81%)、「新浪網」(48.33%)が特に人気を得ていることが判明。未成年者向けサイトについても、どのサイトを好んで訪れるかという同様の質問をしたが、「知らない」(45.90%)が最も多い回答となり、最も人気のあったサイトでも1割台という結果となった。未成年者向けサイトはこれといったものがないのが現状のようだ。

 レポートによれば、未成年者の4割がインターネット利用は勉学と生活の助けとなると考えており、7割がインターネット利用方法の指導を必要と考えているという。また、両親や教職員、未成年者のいずれもが未成年者のためのサイトをつくるべきと思っているという。

 このレポートが発表された6月3日には、中国政府らの支持の下、「未成年人網絡保護手冊(未成年者インターネット保護マニュアル)」が発行された。中国メディアの報道によると、マニュアルは大きくインスタントメッセンジャー、オンラインゲーム、出会い系サイト、インターネットでの言論、インターネット依存症、インターネットの落とし穴、インターネットの常識という7編からなる内容だという。


関連情報

URL
  中国政府の発表文(中文)
  http://www.gov.cn/jrzg/2007-06/04/content_634889.htm
  「捜狐ニュース」6月4日付記事(中文)
  http://news.sohu.com/20070604/n250388728.shtml

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( 山谷剛史 )
2007/06/11 17:29

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