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「Google ブック検索」で福沢諭吉の著作も閲覧可能に

Googleの図書館プロジェクトに慶應義塾図書館が参画

右から米Google副社長兼グーグル代表取締役社長の村上憲郎氏、Google プロダクト・マネージメント・ディレクターのアダム・スミス氏、慶應大学塾長の安西祐一郎氏、慶應義塾図書館長の杉山伸也氏
 グーグルは6日、「Google Books Library Project」に、慶應義塾図書館がパートナーとして加わったと発表した。同図書館が収蔵する200万冊以上の書籍のうち、著作権の保護期間が切れた約12万冊をデジタル化し、「Google ブック検索」から検索・閲覧できるようにしていく。

 Google Books Library Projectは、世界各地の図書館の蔵書を検索できるようにするプロジェクトで、米国や英国、スペイン、ドイツの図書館が参画している。慶應義塾図書館はこれに参画する26番目の図書館で、日本の図書館では初めてとなる。

 慶應義塾大学とグーグルの契約期間は6年間、以降は契約が自動更新される。なお、今回の提携は排他的なものではなく、グーグルでは慶應大学以外の国内図書館とも提携を図る方針だ。ただし、現時点では具体的な提携先は決まっていないとしている。

 慶應大学がデジタル化する書籍12万冊の内訳としては、明治から昭和前期の日本語図書が約3万冊、御伽草子などの和装本が約9万冊で、福沢諭吉の著書も多数含まれるという。これらの書籍は、グーグルを通じてデジタル化され、随時Google ブック検索から閲覧できるようになる。閲覧可能となる時期は早くても2007年夏以降だが、詳細は未定という。


福沢諭吉が書いた著作の表示 今後、福沢諭吉が書いた著作をGoogle ブック検索から閲覧できるようになる

ネットとの融合で来館型と非来館型を混合した図書館サービス目指す

今回のGoogle Books Library Projectの概要

慶應義塾の目指す図書館像とプロジェクトの意義
 これまで慶應大学は、大学内の知的資産をデジタル化し、世界に公開する「デジタル時代の知の構築」を進めてきた。具体的には、1996年にグーテンベルグ聖書をはじめとする貴重書をデジタル化して公開。また、慶應大学のネットワーク上のコンテンツにメタデータを付与し、これらのコンテンツを誰でも検索できるシステムなどを公開してきた。

 慶應大学の安西祐一郎塾長によれば、グーグルとの提携には同大学が進める「デジタル時代の知の構築」を強化する意義があるという。「慶應義塾図書館が所蔵する12万冊をデジタル化するが、その中でも特に福沢諭吉の著作は明治維新前に書かれたもの。当時の日本における近代の幕開けが、デジタル化を通じてひとりでも多くの目に触れることは、慶應大学だけでなく日本にとっても重要なこと」(安西氏)。

 慶應大学の杉山伸也図書館長は、慶應大学の持つ近代日本の知的資産を世界に公開することで、国内外の学術研究活動への貢献につながると指摘する。また、デジタル形態の図書資料を公開することで、従来の来館型の利用から、非来館型の図書館サービスを提供できることもメリットだという。

 「インターネットや電子ジャーナルの普及が進む中、大学図書館は転機にあり、図書館に足を運ばなくても資料を活用できるサービスが求められている。慶應義塾図書館では、来館型と非来館型の双方を視野に入れた混合型の図書館サービスを展開するとともに、今回の提携を通じて、インターネットとの融合性を高め、日本だけでなく世界にも開かれた図書館としての地位を確立したい。」(杉山氏)

 また、米Google副社長兼グーグル代表取締役社長を務める村上憲郎氏は、「世界のあらゆる情報を整理して、ユーザーに的確にアクセスできる仕組みを作り提供する」という同社のミッションを説明。「人類の知の遺産が集積されている書籍をGoogle ブック検索で閲覧可能にすることはきわめて重要」として、今回の慶應大学との提携の意義を訴えた。

 Googleでプロダクト・マネージメント・ディレクターを担当するアダム・スミス氏は、「書籍は、数百年にわたり世界のアイディアや物語、哲学を伝えてきた。インターネット上からも書籍の内容にアクセスできるようにすべき」と語り、Google ブック検索を通じて世界中から書籍を検索できることの重要性をアピールした。


関連情報

URL
  Google ブック検索
  http://books.google.co.jp/
  Google ブック検索 図書館プロジェクト
  http://books.google.co.jp/googlebooks/library.html

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( 永沢 茂/増田 覚 )
2007/07/06 15:31

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