ドイツの最高裁判所にあたる連邦通常裁判所は6日、電話番号サービスに関して、個人情報を開示することに明示的に反対の意思表示をしていない場合、情報が開示されたとしても違法ではないとの判断を示した。
この裁判は、電話会社がドイツ国内の多数の都市で提供する電話番号案内サービスにおいて、電話番号から氏名と住所を教えるサービス(「Inverssuche」と称する)を提供していたことについて、ある電話番号の保持者、すなわち電話会社の加入者が、プライバシーの侵害を理由に損害賠償請求をしていたというもの。訴えていた加入者は、明示的には個人情報の開示に反対の意思表示をしていなかったものの、明示的に許可する意思表示もしていなかった。このことから、いずれの意思表示をもしていない場合、個人情報の開示に反対の意思表示と解するべきであり、電話会社の行為は違法であるとの理由で損害賠償を請求した。
裁判所は今回、いずれの意思も明示的に表示していなかった場合は、通信法(TKG)47条1項および2項のもとでは、通信会社の情報保護義務が課せられており、同法105条3項でこのサービスについて規定されていると判示した。その中で、105条3項の解釈として、いずれの意思表示をもしていない場合、個人情報の開示に反対していないと意思表示をしたと解するべきであり、同種のサービスで反対の意思表示をしていない人の住所・氏名の情報を提供した行為は違法ではないと判示された。
この種の問題は、個人情報保護の機運が高まるにつれ、特に意思表示をしていない場合には個人情報を保護する方に解釈される傾向が強まっていたところ、このような黙示の意思表示については、電話番号案内サービスの根幹が崩れるとして反発が強かったようだ。今後、消費者側の情報保護について明示の意思表示が必要と解されるようになったことから、通信会社はその周知義務が課せられることになりそうだ。ドイツの判断とはいえ、周辺国への影響もあり今後の通信会社の動向が注目される。
関連情報
■URL
ニュースリリース(独文)
http://juris.bundesgerichtshof.de/cgi-bin/rechtsprechung/document.py?Gericht=bgh&Art=pm&Datum=2007&Sort=3&nr=40315&pos=0&anz=92
( Gana Hiyoshi )
2007/07/09 16:28
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