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IPAセキュリティセンター ウイルス・不正アクセス対策グループリーダーの小門寿明氏
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情報処理推進機構(IPA)は10日、情報セキュリティに関する意識調査の報告書を公表した。調査は2007年3月に行なったもので、前回(2006年11月)の調査に比べて「ボット」「ワンクリック不正請求」といった単語の認知度は向上したが、セキュリティ対策ソフトの導入など実際の対策面ではまだ十分とは言えないという結果となった。
調査は2007年3月30日から31日まで、マクロミルのリサーチモニターから15歳以上のPCインターネット利用者を対象として、Webアンケートを実施した。有効回答数は5,316人。
アンケートでは、「コンピュータウイルス」「セキュリティホール」など情報セキュリティに関する単語についての認知度を調査。単語を「聞いたことがある」という回答が最も多かったのは「コンピュータウイルス」の97.8%で、「ワンクリック不正請求」(89.3%)、「スパイウェア」(88.7%)、「フィッシング」(87.9%)、「セキュリティホール」(79.4%)も高い認知率を示した。このほか「脆弱性」(65.1%)、「ボット」(35.5%)などの単語も、前回調査での認知度を上回った。
また、これらの単語について、正しく単語の意味を理解しているかをクイズ形式で質問したところ、全問正解者は「コンピュータウイルス」が全体の29.5%、「セキュリティホール」が20.1%、「スパムメール」が36.7%、「フィッシング」が25.0%、「スパイウェア」が30.6%という結果となった。
この結果について、IPAセキュリティセンターのウイルス・不正アクセス対策グループリーダーの小門寿明氏は、「情報セキュリティに関する単語については、情報漏洩などのニュースが話題になったことから認知度は上がったものの、正しく言葉の意味を理解している人はまだ3割前後にとどまっている」として、啓発活動を進めるとともに一般向けのセキュリティ解説などでは平易な表現を用いるなどの工夫を続けていくとした。
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情報セキュリティに関する単語の認知度
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認知度の高い単語も、意味を正しく理解している割合は3割前後
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情報セキュリティに対しては、「非常に重要である」とする回答が42.9%、「重要である」が53.1%で、合計で95%以上が「重要だ」と考えているという結果となった。一方、セキュリティが「重要ではない」とする回答の割合は、年代別では10代、職業別では「経営者・役員」「医者・弁護士等、専門職」「高校生」でやや高くなっている。
セキュリティ対策の実施状況では、セキュリティ対策ソフトを導入していると回答した人の割合は73.9%に達しているが、依然として2割以上の人が未導入(または導入しているかを把握していない)という結果となっている。このほかの対策では、「怪しいメールや添付ファイルの削除」(78.6%)、「怪しいWebサイトにはアクセスしない」(76.2%)など、メール受信やWeb利用についてはセキュリティの意識が高い傾向にある。
一方で、OSに「パッチをあてて最新の状態にしておく」という対策の実施率は48.9%にとどまっており、「パスワードに英単語や氏名、誕生日などを使わない」(57.6%)など、OSやパスワードに関する対策の実施率は低い結果となった。こうした状況については、「自動更新などの仕組みがあるためにユーザーが意識していない可能性もあるが、被害時や未知の脅威に備えるため、セキュリティに関わる脅威と対策についての最低限の知識を継続的に提供していきたい」(小門氏)としている。
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セキュリティが「重要である」と考える割合は9割以上
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具体的なセキュリティ対策の実施はまだ十分とは言えない状況
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関連情報
■URL
情報セキュリティに関する新たな脅威に対する意識調査(2006年度第2回)
http://www.ipa.go.jp/security/fy18/reports/ishiki02/index.html
ニュースリリース
http://www.ipa.go.jp/security/fy18/reports/ishiki02/press.html
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( 三柳英樹 )
2007/07/10 20:50
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