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「どこまでが補償金の対象?」私的録音録画小委員会で議論


私的録音録画小委員会の2007年第7回会合
 私的録音録画補償金制度の抜本的な見直しを図るために、文化審議会著作権分科会に設けられた「私的録音録画小委員会」の2007年第7回会合が、11日に行なわれた。

 会合では、日本記録メディア工業会の井田倫明氏が、私的録音録画に関する制度設計について意見書を提出。補償金制度の廃止や骨組みの見直しに加え、現在の制度とは異なる措置の導入も視野に入れ、抜本的な検討を行なうべきと訴えた。

 また、抜本的な検討を行なうためには、「どのような行為に、補償措置が必要であるのか」について、レンタルや配信ビジネスなどの実態や、「タイムシフト」「プレイスシフト」といった利用形態との関係が十分に検討されることが不可欠であると指摘。ただし、現在行なわれている会合については、「あたかも、一定の結論が先に存在するかのような構成の資料で検討がなされようとしている」として懸念を示した。

 「そのような(意見書に示した)検討を経た上で、現在の状況が、補償金制度を存続させるに足りると判断される場合には、その補償が必要な部分について、どのような補償措置を施すのが適切であるかを検討すべき。何に対して補償が必要であるのかもわからない状況下で、闇雲に制度設計を行なうことは適切ではない。」(井田氏)

 続いて、日本民間放送連盟の大寺廣幸氏が、著作権法第30条が認める私的複製の範囲について、「適法配信・有料放送からの録音録画」を除外することが検討されていることに反対意見を表明した。

 大寺氏が提出した意見書によれば、有料放送は、視聴者に録画させることを前提としたサービスではなく、無料広告放送と同様、リアルタイム視聴が基本であるという。そのため、有料放送事業者が視聴者から受け取る視聴料は、「録画」ではなく「視聴」の対価であり、有料放送事業者が権利者から受けるライセンスについても、「視聴者の録画」は含まれていないとした。

 また、有料放送事業者では、視聴者の録画を管理できないことなどから、視聴者から録画の対価を徴収することは不可能であると指摘。さらに、すべての権利者から「視聴者の録画」に関する許諾を得ることも困難であることから、「有料放送からの録音録画」を30条の適用範囲から除外することは適当ではないとの考えを示した。


 このほか会合では、著作権保護技術と補償の必要性との関係が議論されたほか、「仮に補償があるとした場合」の考え方として、現行制度の対象機器・記録媒体について、これまで対象外だった携帯音楽プレーヤーやパソコンなどを対象とするかどうかなどが議論が交わされた。

 対象機器・記録媒体については、「あまねく私的録音録画に関与する対象機器・記録媒体という括りをした方が良い」(日本芸能実演家団体協議会実演家著作隣接権センターの椎名和夫氏)や「(パソコンの中には)製造販売元が録音録画機能を宣伝して、消費者の購買意欲を喚起しているケースも多い」(日本映画製作者連盟事務局の華頂尚隆氏)など、補償金の対象機器を拡大すべきという意見が示される一方、「録音録画目的で使っていないにもかかわらず補償金がかけられるのは、エンドユーザーとしては全く納得できない」(IT・音楽ジャーナリストの津田大介氏)と反対する意見も挙げられた。


関連情報

URL
  私的録音録画小委員会(第7回)の開催について
  http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/kaisai/07062808.htm

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( 増田 覚 )
2007/07/11 18:22

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