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トランスコスモス、「Second Life」の現状を説明


 トランスコスモスは13日、3Dバーチャルワールド「Second Life」の企業参入支援サービスについて記者説明会を行なった。

 トランスコスモスは、2007年5月より企業のSecond Life参入支援サービスを開始。「SIM」と呼ばれる仮想土地の購入から街並みの構築、プロモーション、サポートまでを一貫して提供している。


企業参入のパブリシティ効果はあるが集客がない

トランスコスモスの高橋氏
 トランスコスモスのDMサービス企画部ビジネスアーキテクトの高橋祐人氏は、Second Lifeの現状について、「無料会員」「有料会員」「企業」といった3パターンのユーザーが存在すると説明。「無料会員は90%以上を占めている。有料会員は富裕層で商店などを展開しているが、ターゲットとなる無料会員は仮想通貨『リンデンドル(以下L$)』を持っていないため、なかなか売上が伸びない」という。

 無料会員が多い理由の1つとして、「米企業にWeb経由でクレジットカード登録をしなければならず、日本人にとってはハードルが高い」と話す。「無料会員はL$を得ようとするモチベーションが非常に高く、無料会員にいかにして楽しんでもらうかが今後のカギ」と述べた。

 一方、企業の現状について高橋氏は、「Second Lifeに進出したい考えはあるが、どの程度の効果が見込めるのか不明解であるため、なかなか踏み出せないでいる」と話す。また、「大手企業が進出して、豪華な建築物やさまざまな仕掛けを用意しているが、企業の島には人がおらず、お金をかけた意味がない」と指摘した。

 今のところ、Second Life参入によるパブリシティ効果は大きいという。「本格的に参入している日本企業は少ないので、話題になる。広告掲載料換算で島構築費はまかなえるし、CI効果もある」とのことだが、「参入企業が増えると効果はなくなる」とした。

 企業島では「CAMP」と言われるサービスがあり、ユーザーが指定された行動を起こすことで、L$がもらえる。「CAMPをすることで、集客の効果はあるが、ビジネスに対してのインパクトはない。ほとんどの人はCAMPが終わったら帰ってしまい、企業が用意した他の仕掛けなどを見て回ることはない」という。


mixiのバーチャル新卒採用オフィスは成功例

Second Lifeと相性の良い業種
 高橋氏は、Second Lifeと相性の良い業種として、IT関係やPCメーカー、アパレル、建築を挙げた。「Second Lifeユーザーはコンピュータの扱いに慣れており、性能の良いPCを所有していることから、ターゲットマッチングができる。mixiのバーチャル新卒採用オフィスは成功例。mixiさんのようにユーザーが多いと、PCが少し使えるだけで履歴書の特技項目にPCやインターネットと書く人もいる。Second Lifeで面接をすれば、それなりのスキルを持ったユーザーが集まるため、すでに足切りがされており、無駄が省ける」と述べた。

 アバターのグッズで一番売れ行きが良いものはアパレル関係だという。Second Life参入企業では、メーカーのロゴの付いた服やアイテムを無料配布する例がよくあるが、高橋氏は「無料配布されたものは大事にされない。入手した次の日には着ていない」と指摘する。「ブランド力のあるところは良いが、ブランド力を持たない企業はプレミア感の演出が必要」とした。また、住宅やマンションメーカーは、3D表現でのプロモーションが特に効果的だという。

 このほか、金融など、口座開設や会員登録が重要な業種もSecond Lifeと相性が良いと説明する。「口座開設でインセンティブを支払うサービスを行なっているところは多い。例えば、Webから口座開設をすると500円分の商品券がもらえたりするが、それほどインパクトはない。Second Lifeであれば、L$の貨幣価値が生かせる。口座開設のインセティブをL$で支払えば、安い投資で高い効果が期待できる」とした。


企業からアーティストまで、Second Life参入を支援

 高橋氏は、トランスコスモスのSecond Life参入支援サービスについて、「他の参入支援サービスは島を作るところまでだが、会社と同じで、作った後の運営が大事」とし、「弊社はワンストップ・トータルサポートをキーワードに参入支援を行なう」と述べた。現在、トランスコスモスグループのウェブスタージャパンとともに、「アバター派遣」「巡回監視」「テクニカルサポート」のほか、クロスメディアによるプロモーションを展開している。

 13日には、ビクターエンターテインメントからデビューするアーティスト「KEI」のSecond Life内プロモーション活動支援をウェブスタージャパンが行なうと発表した。アバターを使った映像制作サービス「セカンドライフマシニマ制作サービス」を利用したプロモーションビデオの作成や、JストリームのPodcastingポータルサイト「castella」を通じた動画配信などが予定されているほか、アバターを通じたファンとのコミュニケーションなど、さまざまな展開が検討されている。ウェブスタージャパン執行役員の木村隆介C.O.O.は、「今後、弊社が構築したTVstation島を起点とし、アバターを使った新しいプロモーションを考えている」とコメントした。


参入支援サービスの内容 実機の3D見本を用いてアバターが解説するテクニカルサポート

TVstation島 Second Lifeに「KEI」のステージがあり、ライブやプロモーションビデオの撮影などを行なう

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.trans-cosmos.co.jp/release/new_f/press070713_0002.html

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( 野津 誠 )
2007/07/13 20:37

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