日本民間放送連盟は20日、2007年の「日本民間放送連盟賞“NAB Awards 2007”」を発表した。“ネットカフェ難民”を扱った日本テレビ放送網のドキュメンタリーが、テレビ報道番組部門で「優秀」に入選した。
日本テレビ放送網が1月28日に放送した「NNNドキュメント'07 ネットカフェ難民~漂流する貧困者たち」では、「生活困窮で家賃が払えず、格安ネットカフェに寝泊まりする人が増えている実態をテレビで初めて告発した」(同社)という。その結果、この報道が厚生労働省による実態調査にもつながり、番組名の「ネットカフェ難民」は流行語にもなったと説明している。
厚生労働省が8月28日に発表した調査結果によると、ネットカフェ難民は全国で約5,400人に上ると推計している。一方、同調査で電話調査の対象としたのは、全国の24時間営業のネットカフェやマンガ喫茶など全店舗3,246店だという。一方、全国にあるネットカフェの数は2,600店とのデータもあり、単純に平均した1店舗あたりのネットカフェ難民の数は2人程度になる。
このことから、ネットカフェの業界団体である日本複合カフェ協会では、地域によってはそういった利用者が多い店舗もあることを認める一方で、ネットカフェ難民という言葉だけがセンセーショナルな響きを持ってひとり歩きすることで、風評被害により利用者が遠のいた店舗もあると説明。ネットカフェ難民という言葉に異議を唱える声明を数回にわたって発表している。
また、厚生労働省の調査では、ネットカフェ難民のうち、寝泊まりの場所としてネットカフェ以外も利用している人が東京で96.0%、大阪で85.4%あったにもかかわらず、「調査対象をネットカフェに限定したがゆえに、住居を失い、また安定した職業に就けない人の多くがネットカフェを転々としている印象を強く与えた」とも指摘している。
一方で日本複合カフェ協会は、「厚生労働省の支援策との連携を図りながら、お客様の知的欲求や就労意欲に資するサービスコンテンツを提供していくことを積極的に検討していく」とのスタンスも表明している。
関連情報
■URL
日本民間放送連盟
http://www.nab.or.jp/
日本テレビ放送網のニュースリリース
http://www.ntv.co.jp/info/news/388.html
日本複合カフェ協会
http://www.jcca.ne.jp/
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・ 「お客様は難民ではない」ネットカフェの業界団体が声明(2007/08/28)
( 永沢 茂 )
2007/09/21 20:55
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