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米Facebook、友人関係を活用する広告システム「Facebook Ads」発表


 SNSシェア第2位の米Facebookは6日、SNSの友人関係と情報を利用する新しい広告システム「Facebook Ads」を発表した。

 Facebook Adsは3つの部分から成り立っている。1つ目は企業がFacebookで広告キャンペーンを行なう際の足がかりとなるページ、2つ目がFacebookの友人関係によってバイラルに伝わっていく広告配信システム「Facebook Social Ads」、3つ目が広告効果をマーケティングに生かすためのデータを企業に提供するためのユーザーインターフェイスである。

 広告キャンペーンを行なう企業は、まずFacebookの全ユーザーと同じくFacebookの中にページを作成する。ページにはテキスト、画像、動画だけでなく、「Facebook Platform」を使用したさまざまなアプリケーションを配置できる。Facebookユーザーがこの企業ページを訪れ、商品のレビューを書き込んだり、アプリケーションで操作を行なったりすると、その情報はユーザーの許可を得てから友人たちへとフィードを通じて配信される。そのフィードには企業による広告を含めることもできる。

 Facebookの場合、ユーザーの住んでいる国や町、性別や年齢、政治的志向に至るまで、さまざまな個人情報がデータとして存在するため、配信される広告はこのデータをもとに企業が決定できる。もちろん、これらの情報は個人が特定される仕方で表示されることはないとFacebookが保証している。企業は広告キャンペーンの結果を、ユーザーの行動や年齢などをもとに細かく分析し、効果的なマーケティングを行なえる。


Coca-Colaが「Sprite」ブランドのキャンペーンに活用

 この新しいソーシャルな広告は、まず12企業が採用したことが発表された。例えば米Coca-Colaは、Facebookで「Sprite」ブランドのキャンペーンを行なう。Coca-Colaが作成したSpriteのページでは、キャラクターである「Sprite Sips」アプリケーションが配布される。ユーザーはこのアプリケーションを自分のページに貼り付けて、さまざまな動作をさせたり、カスタマイズして楽しむことができる。米国内のユーザーであれば、Spriteのボトルについている番号をアプリケーションに打ち込むことによって、特別な機能やアクセサリーをキャラクターに追加できる。このSprite Sipsキャラクターとユーザーのやりとりが、ユーザーの友人を通じてバイラルに伝わっていくことが期待されている。

 DVDレンタルサービス大手のBlockbusterもFacebookで広告キャンペーンを行なう。この場合はより実用的だ。同社はユーザーのページに貼り付けられるFacebookアプリケーションを開発した。このアプリケーションがインストールされると、ユーザーは自分のページでこれから見たいと思っている映画のタイトルを登録でき、BlockbusterのWebサイトに行かなくても自分のページ上から直接レンタルを申し込める。さらに映画のレーティングやレビューを書き込むことも可能だ。これらの情報や活動は、ユーザーの友人たちに広告とともに配信され、バイラルキャンペーンが展開されることになる。


eBay、出品リストをFacebookのニュースフィードに配信可能に

 Facebookはこのソーシャルな広告システムとは別に、Facebookユーザーを外部の世界とつなげるためのマーケティングツール「Facebook Beacon」を同時に発表した。これはWebサイトに貼り付けることができるFacebook用のボタンで、FacebookユーザーがWebを利用してるときにこのボタンをクリックすると、Facebook内のフィードにその行動が通知されるというものだ。

 例えば米オークションサイト最大手のeBayは、このFacebook Beaconを採用することによって、出品者が自分の商品リストをFacebookニュースフィードに配信できるようにしたい考えだ。この機能はeBay.comに2008年初頭に追加される予定だ。このボタンがさまざまなサイトに採用されれば、Facebookの中と外とを比較的簡単につなぐことができ、多様なマーケティングに使用できることが期待されている。今回eBayだけでなく、CBS Interactive、NYTimes.com、Sony Picturesなどのメディア企業や、TypePad、Vox、LiveJournalなどのブログ企業もBeaconの採用を発表している。

 Facebook Platformの対抗としては、米Googleが中心となってオープンなソーシャルアプリケーションを開発する企業連合を結成している。逆にFacebookにとっての利点も欠点も、現在までのところはその閉鎖性にある。Facebook Platformは独自言語でしか開発できず、GoogleのクローラーもFacebookのページをインデックスできない。それだけに、膨大な会員数を持つFacebookがソーシャルな広告を大規模に展開することは、Googleの基盤である広告配信ビジネスにとって大きな脅威となりうるだろう。今後、GoogleとMySpaceを中心とするオープン企業連合とSNS企業がユーザー数を増やせるのか、また、どのようにソーシャルな関係を利用した広告システムを開発していくのか、そしてそれがGoogle、Yahoo!、Microsoftなどの広告配信企業にどのような影響を与えるのかが注目されるところだ。


関連情報

URL
  「Facebook Ads」についてのニュースリリース(英文)
  http://www.facebook.com/press/releases.php?p=9176
  「Facebook Ads」の提携企業についてのニュースリリース(英文)
  http://www.facebook.com/press/releases.php?p=9171
  「Facebook Beacon」についてのニュースリリース(英文)
  http://www.facebook.com/press/releases.php?p=9166

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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2007/11/07 13:34

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