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動画タグ付けやQ&Aサイトの回答など、Webの無償奉仕者が国内に2,239万人


野村総合研究所情報・通信コンサルティング部主任コンサルタントの小林慎和氏

小林氏は、ボランタリーWebユーザーが無償奉仕をする理由を、デール・カーネギーの著書「人を動かす」になぞらえて説明した
 ウィキペディアの記事を執筆して善意でオンライン百科事典を維持したり、YouTubeにアップされる動画に対して検索しやすいようにわざわざタグを付ける。あるいは、Q&Aサイトに投稿された質問に対して赤の他人が懇切丁寧な回答を寄せたり、Amazonにカスタマーレビューを書き、商品のレーティングを付けたりして、どのCDがお薦めなのかを教えてくれる──。このように、Webにおいて何時間も「無償の奉仕」をする人が、国内に合計2,239万人いるとの推計を野村総合研究所(NRI)が発表した。

 これは、東洋経済新報社から12月20日に発売される書籍「これから情報・通信市場で何が起こるのか〜IT市場ナビゲーター2008年版〜」で掲載している研究結果だ。19日に行なわれた報道関係者向けの説明会で、NRI情報・通信コンサルティング部の主任コンサルタントである小林慎和氏が、このような「ボランタリーWebユーザー」の無償奉仕の経済規模などを説明した。

 小林氏は、ボランタリーWebユーザーの特性によって、「Creator」「Editor」「Valuer」の3タイプに分類する。Creatorは、ブログやSNS、ウィキペディアへの記事をはじめ、YouTubeやニコニコ動画の動画、Q&Aサイトの回答など、さまざまなコンテンツを無償で創造し、Webにアップロードする人々のこと。Editorは、Q&Aサイトで質問を投稿したり、ブログにトラックバックしたり、動画にタグ情報を付加するなど、Web上の無秩序な情報を無償で関連づけする人々。Valuerは、カスタマーレビューを書いたり、製品やサービスのクチコミを投稿したり、ソーシャルブックマークを公開することで、Web上のさまざまな情報の価値を無償で判定する人々だ。

 NRIが8月に行なった「情報通信サービス利用動向調査」によると、国内のCreator人口は783万人、Editorは1,476万人、Valuerは951万人。複数の属性を持つ人もおり、重複を除いたボランタリーWebユーザーの総数は2,239万人に上る。特に、これら3つの要素をすべて持つ人(頭文字をとってCEVと呼ぶ)は234万人おり、そのうち毎日活動しているCEVは63万いるという。なお、ボランタリーWebユーザーではないブロードバンドユーザー(Receiverと呼んでいる)は3,284万人だった。

 1日にWebに費やす時間を見ると、Receiverが2.4時間なのに対して、ボランタリーWebユーザーはそれぞれ3時間以上と大きく上回っている。小林氏は、特にCEVの利用時間3.9時間のうち、メールなどボランタリー活動を省いた半分の2時間をCEVとしての活動時間と仮定。彼らがWebの無償奉仕を行なう時間は年間4億時間に上り、東京都の最低時給739円を当てはめ、CEVの活動の経済価値を年間3,400億円と推計した。


ボランタリーWebユーザーのの分類 ボランタリーWebユーザー人口

「情報耐性力」と「情報構成力」が必要に

 小林氏は、ボランタリーWebユーザーの2,239万人という数字について、他の趣味の人口と比較して規模を説明した。総務省の「平成18年社会生活基本調査」によると、過去1年間に趣味(スポーツ系)を1度以上行なったことのある人の数(行動人口)は、ウォーキング・軽い体操が3,968万人、ガーデニングが3,207万人、写真の撮影・プリントが3,103万人、ボウリングが2,114万人などと続く。ボランタリーWebユーザーは、ボウリングの行動人口よりも多い程度で、例えば釣りの1,134万人のちょうど2倍程度の規模に達していることがわかるが、これだけWebが普及していることを考えれば、ボランタリーWebユーザーが活動するのは必然だという。ウォーキングやガーデニングと比べれば、2,239万人という数字はそれほど多くないと説明。ボランタリーWebユーザーは今後さらに増大していくとした。

 小林氏は、拡大するボランタリーWeb社会に消費者が向き合うためには、「一般常識として『情報耐性力』を持つことが重要になってくる」と指摘する。同調査では、ボランタリーWebユーザーの約5割が何らかの誹謗・中傷を受けたことがあり、立ち直れないコメントによって、もう活動できない人も出てくるという。誰もが情報を発信できるということは、同時に、すべての情報は評価・批評されるということであり、「誰からも中傷される可能性がある」。情報耐性力とは、否定的なコメントに対して耐性を持つ力という意味だ。

 ボランタリーWeb社会ではまた、「情報をどのように使うかという『情報構成力』も求められる」。これまでは、いかに知識を詰め込み、それをいつでも出せるかで差別化されたが、今後は、インターネット上の情報をいかにして引き出せるかという、活用力と判断力で差別化が行なわれるとした。


関連情報

URL
  野村総合研究所
  http://www.nri.co.jp/


( 永沢 茂 )
2007/12/19 21:04

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